一方で、不便なところは、感謝の気持ちを述べるには、不十分で伝わりきりません。

 また、謝罪の気持ちを伝えたくても、その中途半端さから、心からの謝罪に聞こえないこともあります。

 私は、「すみません」という言葉が口から出てきそうな時には、一瞬だけ間をおくようにしています。そして、感謝を述べるのであれば、「ありがとうございます」を選ぶようにします。逆に、謝罪を述べる時は、「申し訳ありません」と丁寧に伝えるようにしています。

「申し訳ありません」は、英語で言えば“I’m sorry”です。英語にすると、軽々しく謝ってばかりいる姿は変に感じますね。謝る度に、自分の言動を改めようという気が湧いてきます。

 感覚的には、我々が日頃口にする「すみません」のうち、8割~9割は感謝が占め、謝罪の意味合いは2割に満たないように思います。

■「サンキューが9割」を心がける

 ハーバードの学生は、「ありがとう」を頻繁に口にします。“Thank you”や“Thanks”。時には、“I appreciate it”と丁寧な表現も口にします。

 一方で、“Excuse me”“I’m sorry”は、本当に謝罪が必要な時だけです。アメリカ人は、なかなか謝罪を口にしないと言われますが、ハーバードの学生は皆、謝るべき時には素直に謝ります。素直に謝れることも自信の表れなのでしょう。

 日本語では「ありがとう」と口にするのは、照れ臭いこともあります。それでも、自然体で「ありがとう」と言いたいものです。

 自分も、常にそうできているわけではありません。サンキューが9割に対して、エクスキューズミーが1割。9対1のルールを心がけています。是非、皆さんも試してみてください。

戸塚隆将(とつか・たかまさ)
1974年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼー&カンパニーを経て、2007年、ベリタス株式会社を設立、代表取締役に就任。同社にて、プロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を運営。