写真はイメージです(Getty Images)
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中島淳医師※肝がんの手術や治療に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、手術数の多い病院をランキングにして掲載。その一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/
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NASHのデータ(週刊朝日9月11日号より)※肝臓がんの手術や治療に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、手術数の多い病院をランキングにして掲載。その一部は特設サイトで無料公開。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/
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 お酒を飲まないのに健康診断で肝臓が引っかかった──。近年、こうしたケースが急増している。背景にあるのは食べすぎや運動不足で、進行すると肝硬変になる。肝硬変からは肝がんになりやすいことも明らかになっている。

【データ】かかりやすい性別や年齢は?

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 肝炎とは肝臓の一部が破壊され、炎症やその治癒反応として線維化(細胞の跡を埋めるために線維が肝臓の中にたまる)が起きている状態のことだ。

 近年、増えている非アルコール性脂肪性肝炎(以下、NASH)はこうした肝炎の一種だ。新型コロナウイルス感染症の影響で「巣ごもり」の人が増える中、病気の進行が懸念されている。横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室主任教授の中島淳医師は言う。

「NASHの人は心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクも高い。睡眠時無呼吸症候群やCKD(慢性腎臓病)、乳がん、男性の場合は大腸がんになりやすいこともわかっています」

 NASHのベースは肝臓に中性脂肪が蓄積される(5%以上)脂肪肝という病気だ。お酒を飲まない、あるいは飲んでも1合程度の人に起こり、「非アルコール性脂肪性肝疾患(以下、NAFLD<ナッフルディー>)」と呼ばれている。NAFLDの患者のうち肝炎のNASHに進行するのは約10~20%だ。早くて10年、多くは20~30年かけて発症する。

■ 肝臓は沈黙の臓器 4人に1人が罹患 

 NAFLDはかつて「良性の脂肪肝」とされていた。
「しかし、1990年代半ばからアメリカで飲酒をしない人から原因不明の肝硬変が見つかるようになり、その危険性が明らかになってきたのです」(中島医師)

 NAFLDの患者数は世界的に増えており、全世界の推定有病率は26・8%、日本における国内推定患者数は約2千万人で、成人の4人に1人が罹患している。

「専門家は皆、危機感を持っています。なお、男性は30代以降の中年に多く、女性は若いときは少ないですが、閉経後に激増します。加齢や閉経にともなう女性ホルモンのエストロゲンの低下とかかわっていると考えられます」(同)

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メタボや高血圧の人は要注意