NAFLDやNASHの原因は明らかではないものの、肥満(BMI25以上)と運動不足が確実な危険因子とわかっている。また、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧があるとNAFLDやNASHの発症リスクが高まることが明らかだ。

 特に影響するのが2型糖尿病で、インスリン抵抗性(血糖をコントロールするホルモンであるインスリンの効きが悪くなった状態)との関係が指摘されている。NASH患者の20~75%に2型糖尿病や糖尿病予備軍の状態が認められたという報告もある。

 このほか業務用の油などに多く含まれるトランス脂肪酸や食品添加物や保存料の一部が発症に関与している可能性を指摘する研究者もいる。中島医師の研究では歯周病菌の関与も明らかだ。NASHの患者群は健常な人に比べて、歯周病の代表的な菌である「Pg菌」の保菌率が高く、50%にもおよんだという。

 肝臓は沈黙の臓器といわれ、肝炎になっても症状はほとんどないため、「NASHになりそうな、たちの悪い脂肪肝(NAFLD)」(中島医師)を拾い上げる検査法が注目されている。

 それが「FIB-4index(フィブフォーインデックス)」だ。血液検査では肝機能の障害を示すAST(正常値30以下)やALT(正常値30以下)の値が高く、血小板数(正常値14・5~32・9)が低い場合、進行した肝炎や肝硬変が疑われる。

■ 普通の検査では見つからない

 FIB-4indexはこれが類推できる指数で、「年齢×AST/血小板数×√ALT」の計算式で評価する。1・45以上はNASHの可能性があり、3・45以上は進行したNASHの可能性が高い。また、NASHの中には肝機能の数値が正常な人もいるが、普通の検査では見つからない。この計算式では肝臓の線維化を示す血小板の数値も入っており、こうした隠れNASHも発見できるという。

「計算式はすでに健診や人間ドックの電子カルテに組み込まれていることが多い。一般のクリニックでもチェックできます。糖尿病などがある人は主治医に相談して調べてもらうといいでしょう。なお、この検査は正常値の的中がほぼ100%、つまり、1・45未満であれば現在は脂肪肝があっても心配のない状態で、年に1回程度の経過観察でOKです。もちろん、油断しすぎてはいけませんが……」(同)

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正確な診断のために受ける検査とは