4月に楽天が法人向け検査キットの販売を開始した際には、医師会が「検査は専門家が正確に行うことが必要で、リスクが高い」と言及。たとえば、検体を採取の際に周囲に感染が拡大する危険性があることや、検体採取の方法が不正確であれば結果は信用できないこと、もし偽陰性だった場合は周囲に感染を拡大させる恐れがあることなどを指摘した。結局、医師会がこうした強い懸念を示したことで、同社のサービスは停止に追い込まれた。

 メレコムのサービスでは、検査による安全性や正確性はどうやって担保されているのか。

 中川氏は楽天のサービスとの違いを強調する。

「楽天は被験者自らが鼻の奥までキットを入れて検体を取る手法だったが、これだと偽陰性になるリスクが高い。そこでわが社では、唾液を用いた検査を採用した。唾液であれば簡易に検体が採れる上、DNAの含有量が多く、検査としての有効性が高い」(同前)

 また、同社では高い検査精度と安全性が認められている国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに沿って、陽性の判定には専門の技能を持つ5人の技師が検査を行っているという。

 さらに、国立感染症研究所の定めた輸送マニュアルに従い、吸水パックなどで3重に梱包し、自社スタッフが直接回収するシステムを取ることで安全に運搬ができているという。

 そのうえで、保健所では結果が出るまでに数日かかるところ、同プランでは集荷から結果報告までに要する時間は、半日から1日程度だという。

 中川氏は言う。

「国や自治体に任せっぱなしではなく、今後は民間もサポートに回る必要がある。ただ、われわれ1社では限界がある。さまざまな企業と連携し、新型コロナの収束に貢献したい」

 楽天の検査キットに対しては懸念を表明した医師会は、同社のサービスをどう見ているのか。

 日医の常任理事である釜萢(かまやち)敏氏は、「マニュアルに沿っていれば安全性や正確性の面では問題ないとは思うが、我々が検査過程を直接チェックしているわけではないので、責任は持てない」と話す。その上で、「PCR検査は、医師が必要と認めた場合が大原則。資源は限られているため、優先順位をつけて実施すべきだ」との見解を示す。“安心を得るため”に検査を求める人は、すでに発熱などの症状がある人や濃厚接触者などに比べれば優先順位が下がる。

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医師会は否定的なスタンス