昨年末にはちょっとした“事件”もあった。夫が忘年会で1万円を使ってきたので、美穂さんは激怒。妻のあまりの怒りっぷりに家にいづらくなったのか、しばらく夫は車中泊をしたそうだ。ちなみに車は軽自動車。任意保険には未加入とのこと。

「たまに離婚したくなりますね。万が一、そうしたら実家で世話になるつもりです」

 最近の悩み事は、3歳になった子どもの幼稚園にかかる費用。越境して、早期教育に力を入れている幼稚園へ通っているという。昨年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしたものの、どうしても毎月1万円程度は足が出てしまう。

「大変な時はリボ払いをしています」

 お金がない、という理由のひとつには“子どもの教育費には糸目をつけない”という美穂さんの方針もあるようだ。「私は絶対に専業主婦をやめない」そう強く語る美穂さん。一体なぜなのだろうか。

「専業主婦って女性の憧れですよね。周囲に“専業主婦です”って言うと、うらやましがられるというか。私にとってのステータスなんです」

 そのステータスのためならば、お金のがまんもいとわないということなのだろう。

 当然ながら、専業主婦になった経緯も、家庭に対して持つ価値観もさまざまだ。今回の取材を通して、私がイメージしていた「専業主婦像」もまた、一面的でしかないことがわかった。(取材・文=吉田みく)