「ブランド品も買わないし、子どもの服もお下がりでいい。それなら何とかなりますよ!」

 とても明るく、元気なママで若者らしい素直さがある。夫は映像系のクリエイター。まだ売れっ子ではないようで、収入は「200万円以下だと思う」とのこと。

「収入がないのは不安ですが、クリエイターってそんなもんじゃない?」

 と、夫の収入を気にかけている様子はない。百合子さん自身もオタク気質があるようで、夫とは趣味も合うという。

 取材中、スマホの着信音が鳴りやまないので大丈夫か心配すると、

「これ、フリマアプリの音なんです。直接手渡しで受け取れば、いろんなものが格安で手に入るんですよ! この後取引があってガンガン鳴っちゃって、すみません(笑)」

 とあっけらかんと話す。百合子さんは、フリマアプリを駆使し、生活品を最低限の金額でそろえているという。いらなくなった物を自分で販売することも多く、家計の足しになると喜んでいた。

 なぜ専業主婦を選んだのかを聞いてみると、予想以上にストレートな答えが返ってきた。

「働きたくないんですよ。もともとぜいたくするタイプでもないので。無料アプリで一日つぶせるので、全然OKです」

 この言葉だけだと自堕落な性格にも思えるが、実際には、必要最小限の生活の中に喜びを見つけられる人だという印象を受けた。毎日のように、子どもと児童館に行く時間が幸せだとも話していた。

 最後に話してくれた美穂さん(仮名=30)は、先の2人とは少し違い、本来は“セレブ志向”があるように感じた。都内で3歳と2歳の子どもを育てている。

 専業主婦になったのは、夫から「小さいうちは子どものそばにいてほしい」と言われたことがきっかけだという。美穂さんも同じ考えだったので、それには同意したというが家庭がうまく回っているわけではないようだ。

「いつもお金がないことで、夫婦げんかが絶えないんですよ」

 詳しい収入は聞くことができなかったが、「貯金はない」とのこと。夫の仕事は個人宅への配達業で、夫婦ともに収入は全て使うのが当然という考えだという。

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「専業主婦は、私にとってステータス」