今や専業主婦は希少な存在になってきた。画像はイメージ(写真/PIXTA)
今や専業主婦は希少な存在になってきた。画像はイメージ(写真/PIXTA)

 今や、共働き世帯は全体の7割弱を占めるともいわれる現代日本。では、「3割」にあたる専業主婦世帯とは、一体どのような家庭なのだろうか。一般的には親が資産家だったり、夫が高収入だったりする“富裕層”を思い浮かべるが、世帯年収300万円以下など、決して高所得とは言えない家庭でも専業主婦になる女性はいる。夫の強い希望なのか、子どもの教育のためなのか、はたまた別の理由があるのか。当事者に話を聞いてみた。

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 東京都の郊外で5歳と1歳の子どもを持つ専業主婦の奈々子さん(仮名=32)の夫は、市から委託を受けて清掃関連の仕事をしている。夫の年収は250万円ほど。家族4人での生活を維持するために、質素倹約を心がけているという。

 住居費を抑えるために、住まいは公営団地に住む選択をした。エレベーターがないため、階が上がるごとに値段が安くなる。そのため、最上階の5階を選んだ。家賃は3万円弱。2人の子どもを抱えながら階段を上るのはきつかったというが、「慣れてきた」と語る。

 車は持っていない。バス通りに面しているため、車がなくても生活ができるという。

「近所の人たちも優しく、不便を感じていません」

 専業主婦を選択した理由は、自身の体調の問題だと語る。

「実は精神的に不安定な部分があって、就労は厳しいんです。夫と相談して決めました」

 体調が優れない日もあるなかで、節約しながら小さい子ども2人の子育てを続けるのは楽ではないが、今の生活には満足しているという。

「休日は家族で児童館で過ごすことが多いです。地域の人たちとも交流が持てる、お金もかからない、一石二鳥だと考えています」

 人とのつながりを大事にして、今の生活を前向きにとられている奈々子さんの表情は、終始とても穏やかだった。

 同じく都内の郊外に住む百合子さん(仮名)はまだ23歳。2歳になる子どもがいるが、20歳そこそこで結婚して以来、ずっと専業主婦をしている。

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