だが、そんな憶測を打ち消すように燕太郎は14年のシーズン開幕後も引き続き登場。4月16日の巨人戦で、バレンティンvsマシソンの乱闘の際に、後方でジャンプしている姿が「空気が読めない」と話題になったが(実はバレンティンの本塁打を喜んでいるポーズが誤解された)、5月4日の阪神戦の5回終了後に正式に引退が発表され、スクリーンにこれまでの名場面が映し出された。このシーンは、電子ニュースでプロ野球の第2位と注目を集めたものの、「『つばめたろう』じゃなくて『えんたろう』と読むのか」と初めて知ったファンも多かったのが、悲しかった……。

 翌5日の「サヨナラ燕太郎イベント」が最後のお勤めとなったが、その後、同18日に水戸市立競技場で行われた水戸ホーリーホックvs京都サンガF.Cにも「ヤクルトくん」とともに姿を見せた。ただし、背番号は「8960」ではなく、以前の「102」。本人も以前ブログで「にせものちゅういだよ!」と示唆しており、本物だったかどうかは、定かではない?

 そして、6月から前出の新マスコット・トルクーヤにバトンタッチしたが、「燕太郎よりキモい」の声も出て、その存在が少しは再評価されたのが、せめてもの慰めだった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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