「今の仕事がつまらない」と嘆くあなたへ その経験が絶対に“無駄”ではないと言い切れる理由
連載「人生は「手」で変わる」
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小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。2020年6月発売の最新刊『なりたいようになりなさい』(日本実業出版社)、『美しく生きるヒント』(青春出版社)のほか、『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)など著書多数(撮影/写真部・片山菜緒子)
「もしよろしかったら、簡単なお顔のマッサージも試していかれませんか?」と。
そこで「今月の特集」は「ストッキング」をテーマに記事を作成することにしました。周囲からは「ずいぶん地味なテーマだね」と言われましたが、店頭に立っていると、美容部員がストッキングに関して質問を受けることもあるのです。
同じお店の中ですから、お客様からしてみれば化粧品の販売員なのか、ストッキングの販売員なのかはわかりませんものね。そこでストッキングメーカーのひとに話を聞こうと思い、都内のストッキングメーカーを探しました。一企業の美容部員向けの冊子の取材に応対してもらうには、まずは丁寧な手紙が必要かと思ったので、メーカー宛てに手紙を書いてからアポイントを入れました。
そして取材を元にして「こういう職業のひとには◯◯デニールのストッキングがいい」といったものを一覧表にして特集記事をつくったのですが、これがびっくりするほどの大反響。
「なぜ、ストッキングの特集を思いつかれたのですか?」と、多くの美容部員に聞かれましたが、私の答えはひとつです。
「私も美容部員だったからよ」
現場に立っていたときの経験は、それから何年もたってから役に立つこともあるのです。
お若い方でたまに、本社勤務ではなく地方勤務になったことを嘆いたり、現場の仕事を早くはずれて管理職になりたい、肩書がほしいという方もいらっしゃいますが、人生に「無駄にしかならない経験」なんて、ひとつとしてないのです。
自分が経験していることというのは、いま「つまらない」と感じていても、覚えておくこと。自分の体の一部にしておくことです。
これも、理にかなった「生きる知恵」ではないかと思っています。
【しなやかに生きる知恵】
手がけてきたことは必ず“いま”の仕事にも生かせます
小林照子(こばやし・てるこ)/美容研究家。ヘア&メイクアップアーティスト。1935年、東京都生まれ。東京高等美容学院を卒業後、小林コーセー(現・コーセー)に美容部員として入社。数々の大ヒット商品を手掛け、85年、同社初の女性取締役に就任。その後独立・起業し、美容ビジネスの企業経営や後進を育てる学校運営をおこなっている。『人生は、「手」で変わる。』(朝日新聞出版)、『これはしない、あれはする』(サンマーク出版)、『小林照子流 ハッピーシニアメイク』(河出書房新社)ほか著書多数