■わがままを言いやすくする「心理的安全性」

 ただし、いきなりチームリーダーが「さあ、わがままを言ってみろ」と促したところで、なかなか率直に話せるものではありません。

 では、なぜわがままを言いにくいのか。それは、自分のわがままが他の人の共感を得られるかどうか、実際に言ってみないとわからないという側面があるからです。

 わがままを言った瞬間、感情的に怒られるかもしれない……。まずは、そう思っている心のブレーキを解除する必要があります。

 近年注目されている「心理的安全性」の問題です。つまり、何を言ってもその人の立場などが脅かされない、その人がそう思っているという事実だけが受け止められる、そういう心理的安全性が確保されている状態でないと、なかなかわがままは言えないものです。

 ところが現実的には、いちいち心理的安全性を確認しながら発言せざるを得ないという会社が多いのではないでしょうか。そのような会社では、まず「わがままを言う練習」からはじめてみましょう。

 そのときに意識してほしいのは、「自分のわがままが組織に貢献するかどうか」です。

 たとえば、サイボウズに中途入社したメンバーから、「有給休暇の付与日数は、どのようなルールで定められているのでしょうか」と質問が出たことがありました。当時は、前職の勤続年数が長い人ほど有給休暇の日数が増える仕組み(最大20日)だったため、有給休暇が少ないと感じたようです。これがきっかけになり、サイボウズでは、「前職の勤続年数にかかわらず一律20日」と有給休暇のルールが変更されました。

 このような他のメンバーのメリットにもつながる質問であれば、周囲からも受け入れられやすいのではないでしょうか。どんな小さなことでもいいので、まずは違和感を口に出すことで、自分も幸せになるし、周囲にも貢献できるという実感を、自分の中で積み重ねてみてください。