意外だったのがロッテだ。ホームでは熱狂的な応援で知られるが、ロードとの勝率を見るとそこまで大きなアドバンテージにはなっていない。2018年に至っては、ホームでの勝率がロードでの勝率を大きく下回っている。そして12球団で唯一ホームの勝率がロードを下回ったのが楽天だ。過去5年間で2度ホームで負け越しており、最下位に沈んだ2018年には22勝50敗と28もの借金を作っている。昨年は大きく改善されたが、ホームとロードの勝率差は極めて小さかった。そういう意味では無観客の期間は楽天にとってプラスとなる可能性もある。しかし全体的にみるとセ・リーグほど球団間の差はなく、無観客になることが及ぼす影響は大きくはなさそうだ。

 今回はあくまでホーム、ロードの差で見ており、観客以外の要因も当然考えられるが、それでも傾向として差が見えたのは面白いところである。数字には表れない部分だが、観客の応援、またはプレッシャーがプレーに及ぼす影響は少なからずあるはずだ。そういう意味でも一日でも早く、グラウンドとスタンドが一体となる日常が戻ってくることを切に願いたい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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