プイグがメジャーデビューした2013年のオフには、ホセ・アブレイユがホワイトソックスと6年総額6800万ドル(約72億円)で契約。翌年には打率3割1分7厘、36本塁打、107打点と文句なしの活躍で新人王に選出されたほか、4度の年間30本塁打以上、5度の100打点以上を記録し、昨季は123打点で打点王に輝くなど、6年間で打率2割9分3論、179本塁打、611打点をマークして現役屈指のスラッガーとしての地位を確立した。

 彼ら以外にも昨季のア・リーグ本塁打王ホルヘ・ソレア(2012年にカブスと9年総額3000万ドル(約32億円)で契約)や、日本のDeNAでもプレーしたユリ・グリエル(2016年にアストロズと5年総額4750万ドル(約50億円)で契約)など、大型契約で成功したキューバ人選手は数多い。とはいえ、日本人でも松井稼や福留が大型契約の期待に応えきれなかったように、キューバ人選手の契約失敗例ももちろん相応に存在する。

 プイグの成功で味を占めたドジャースは2013年オフ、後に日本の中日巨人でもプレーするアレックス・ゲレーロと4年総額2800万ドル(約30億円)で契約。しかしゲレーロは故障もあって2年目の2015年に106試合に出場して11本塁打を放ったのが目立った程度で、2016年途中には契約を1年以上も残しながら戦力外となって放出された。通算117試合出場で52安打、ヒット1本あたり53万ドル(約5600万円)はドジャースにとって高い買い物だった。

 ドジャースはゲレーロと同じ2014年にメジャーデビューしたエリスベル・アルエバルエナでも痛い目を見ている。キューバ代表の正遊撃手という実績が評価されて5年2500万ドル(約27億円)で契約したアルエバルエナだったが、素行不良でチームから長期の出場停止処分を受けたことなどもあってメジャーでは1年目に22試合出場したのみ。通算8安打で終わったので、ヒット1本の単価は驚愕の312万ドル(約3億3000万円)という異を唱えようもない大失敗契約だった。

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77億円で獲得した選手も“大失敗”に?