向井:ほんまや!

渡辺:このボックスライトを向井くんから見てやや左斜め前から当てて、右側に白いカポックを立て、さらに大きめの白いレフ板で斜め右下から光を起こしただけ。シンプルだろ?[図(1)参照]

向井:あの白い衝立はカポックっていうんですね。レフ板とは違うんですか?

渡辺:光を反射させるという意味では、どちらも同じだね。カポックは発泡スチロールの板で、大きくても軽いから、2枚つなげて屏風みたいに立てたり、スタンドにはさんだり、基本的にはスタジオで使う。レフ板は大きさも素材もさまざまだけど、手に持って臨機応変に使うことが多いかな。

向井:レフは撮影中もかなり動かしてましたよね。

渡辺:俺も動くし向井くんにも動いてもらうから、それに合わせてレフ板の位置もどんどん調整したんだ。5月号の11ページは、同じライティングで撮った写真だけど、さっきの写真と見比べると、シャドー(影)の出方に違いがあるのはわかる?

向井:こっちのほうが、顔の右側も明るいし、光がちょっとやわらかく見える気が。

渡辺:そう。レフの当たり方ひとつで違って見えるんだよ。さっきも言ったけど、 このときのライティングは、向井くんから見て左の1灯だけ。そのまま撮ったら反対側が暗くなっちゃうから、右側にカポックを立てて光を反射させたんだ。左頬のあたりに濃淡がきれいに出てるでしょ。さらにレフを斜め下から当てれば、アゴの下なんかにできる影も弱めることができる。

向井:たしかに!

渡辺:ライティングには、鋭くてかたい光、やわらかい光といった光の“質”とは別に、光そのものの明暗も大事なんだ。顔のどちら側からストロボを当てるかというのも重要。斜め前から当てることで、陰影がついて彫りが深く見える。日本人の平板な顔には効果的なんだよ。そのぶん、 肌の凹凸なんかもはっきり写っちゃうから、女の子のときは特に、レフを使って弱めてあげる必要があるんだけど。

向井:レフ、大事ですね!

(構成=アサヒカメラ編集部)

※1 ストロボ/カメラ用の発光装置。フラッシュとも。

向井康二(むかい・こうじ) 1994年、大阪府出身。Snow Manのメンバーとして、2020年1月「D.D./Imitation Rain」でCDデビュー。フジテレビ系「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」、TBS系「アイ・アム・冒険少年」にレギュラー出演するなど、バラエティー番組でも活躍中。小学生の頃からカメラを始め、毎日写真を撮りつづけている。

渡辺達生(わたなべ・たつお) 1949年、山梨県生まれ。成蹊大学在学中からグラビア写真を撮り始め、「週刊ポスト」の表紙を20年以上担当。200冊を超えるアイドル、女優の写真集を手がける。

※渡辺さんが撮影した向井さんの写真や、「メンバーを格好よく撮ってあげたい」という向井さんが“男子の撮り方”や、自然光、クリップオンストロボの使い方などを教わる記事の続きは、『アサヒカメラ』2020年5月号でご覧いただけます。

※「第1回」の記事はこちら
https://dot.asahi.com/dot/2020032400050.html