この奇妙な剥製の正体は?神奈川県立生命の星・地球博物館提供(瀬能 宏撮影)
この奇妙な剥製の正体は?

神奈川県立生命の星・地球博物館提供(瀬能 宏撮影)

【写真】江の島水族館に実在した「巨大なホルマリン標本」の貴重な記録!

江の島水族館に実在した「巨大なホルマリン標本」 (c)竹嶋徹夫(新江ノ島水族館)
江の島水族館に実在した「巨大なホルマリン標本」 (c)竹嶋徹夫(新江ノ島水族館)
●澤井悦郎(さわい・えつろう)/1985年生まれ。2019年度日本魚類学会論文賞受賞。著書に『マンボウのひみつ』(岩波ジュニア新書)、『マンボウは上を向いてねむるのか』(ポプラ社)。広島大学で博士号取得後も「マンボウなんでも博物館」というサークル名で個人的に同人活動・調査研究を継続中。Twitter(@manboumuseum)で情報発信・収集しつつ、なんとかマンボウ研究しながら生活できないかとファンサイト(https://fantia.jp/fanclubs/26407)で個人や企業からの支援を募っている。
●澤井悦郎(さわい・えつろう)/1985年生まれ。2019年度日本魚類学会論文賞受賞。著書に『マンボウのひみつ』(岩波ジュニア新書)、『マンボウは上を向いてねむるのか』(ポプラ社)。広島大学で博士号取得後も「マンボウなんでも博物館」というサークル名で個人的に同人活動・調査研究を継続中。Twitter(@manboumuseum)で情報発信・収集しつつ、なんとかマンボウ研究しながら生活できないかとファンサイト(https://fantia.jp/fanclubs/26407)で個人や企業からの支援を募っている。

 私はマンボウだけを研究して飯を食いたい。そのためには、もっとマンボウの魅力を多くの人に知ってもらい、マンボウ需要を高める必要がある!

 前回、「新種カクレマンボウMola tectaを知る人が日本でほとんどいない!」と記事を書き、Twitterで嘆きのツイートをしたところ、なぜかファイナルファンタジー14ユーザーから「モモラ・モラの新種!?」という反応が多く寄せられ、4.4万人の方々にリツイートしていただいた。記事も楽しんでいただけたようで非常に嬉しい。読んでくれた皆様に心から感謝したい。

 しかし、カクレマンボウの存在を知らせることができたのはごく一部のネットユーザーだけだと私は確信している。引き続き、マンボウ類の魅力を普及するとともに、新型コロナウイルスで疲れた心をワクワクさせる話題で少しでも癒やせたらと思う。

■「江の島水族館」のホルマリン漬け巨大マンボウ

 古参の水族館フリークの間で語り継がれるひとつの噂がある。改装前の「江の島水族館」(神奈川県)には、ホルマリン漬けにされた巨大なマンボウの水槽があった、と。

 改装後の「新江ノ島水族館」にはそんな水槽があった形跡もなく、ネット検索しても画像は出てこないので、それを見たのは夢か幻だったのではないかと言っている人もいる。

 しかし、自分の記憶を疑うことなかれ、その水槽は実在した! 1977年から1992年までの15年間、全長202センチのマンボウ標本を入れた水槽が館内にあった。標本を入れたホルマリン水槽は床の上に設置され、透明のビニールシートで覆われていたが、それでは表面がたゆんで見えにくいため、ビニールシートの上に重し代わりとして10センチほど水道水を入れた状態で展示されていた。

 Nintendo Switch『あつまれ どうぶつの森』で釣ったマンボウの野外水槽のように、上は蓋がされていなかったため、重しとして入れられていた水を触ってしまいビックリしたと、エッセイスト・内田春菊の本『水族館行こ ミーンズ I LOVE YOU』にも書かれている。

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