――たしかに、毎日完璧はしんどいです。

壇蜜 スーパーが私たちの献立事情を阻みますしね。びっくりするくらい野菜が高いときとか、びっくりするくらい目当ての食材がない日もあります。それを考えると「まあいっか」っていう気持ちをもっていないと苦しいなと思います。「お刺し身をどうしても食べたい」と言われて探しに行ったけど、ネギトロしか売っていないときもあった。そういうときにどうするか、代替案を考える心の余裕があるかというと、やっぱり毎日はしんどいです。

――主婦の憂鬱ですね。

壇蜜 憂鬱ですよ。20代である会社の受付の仕事をしていたときに、新婚の先輩がいたんです。彼女は毎日食堂でお昼を食べていても、晩ご飯のことがチラつくんですって。カレーうどんをすすっていても、「晩ご飯なにつくってあげたらいいだろう」って考えちゃう。「カレーうどんの味が結婚前よりも結婚後は薄まった気がする」って言っていました(笑)。「それは意識がどこかに行っているだけで、食堂は通常営業ですよ」ってつっこんでいたんですけど、いまになってようやくわかります。その先輩は仕事をしながら料理もちゃんとする人で、すごくかっこいい人だったな。

――漢方には「気」という概念があって、人間関係の波長や相性のようなものも含まれるそうですが、生活を共にされるようになっていかがですか?

壇蜜 私は特殊な仕事で、夜討ち朝駆けみたいなところもあって申し訳なく思っています。それに、疲れているときに、明日のために早く寝なきゃと倍速で動いてしまっている姿を男の人に見せたくない気持ちもある。彼はそういうところをよくわかってくれています。彼も職場に寝泊まりできる環境をもっていて、仕事が大変なときはお互いに我慢しようねというのが共通認識。彼が舵を取って波長のチューニングを合わせてくれているので、感謝しています。

※週刊朝日ムック『本格漢方2020』より。誌面では壇蜜さん流の健康法と美容法も大公開している。

(取材・文/大室みどり)

(プロフィール)壇蜜/1980年、秋田県生まれ。タレント。調理師免許、日本舞踊坂東流師範免許、遺体衛生保全士資格など数々の資格を取得、多彩な職種を経験後に、29歳でグラビアデビュー。昨年11月、漫画家の清野とおる氏と結婚。著書に『はんぶんのユウジと』(文藝春秋)、『はじしらず』(朝日新聞出版)など。