先発投手ではミランダ(元ソフトバンク)もまだまだ戦力になりそうだ。2018年のシーズン途中に来日して6勝1敗、防御率1.89という見事な成績を残し、ポストシーズンでも好投を見せてチームの日本一に大きく貢献。昨年は防御率が4点台と大きく悪化したものの、18試合に先発して7勝5敗とまずまずの成績を残している。打者を圧倒するような球威があるわけではないが、ストレートと同じ軌道から沈むチェンジアップを低めに集めるピッチングが持ち味で、右打者に強いのが特長。昨年は不用意に投げたストレートをホームランにされるケースが多かったが、良さを上手く引き出すことができればまだまだ十分に先発として期待できる。今年は台湾でプレーすることになったが、台湾球界は月ごとに契約更新されるケースが多いだけに、シーズン途中での日本球界復帰の可能性もあるだろう。

 野手は投手に比べて候補は少ないが、一人挙げるとすればゲレーロ(元巨人)になるだろう。来日一年目の2017年には中日で35本塁打を放ちホームラン王を獲得。巨人移籍後は首脳陣とのトラブルなどもあって成績を落としたが、昨年はシーズン終盤に復調し21本塁打を放っている。持ち味は何といってもその長打力だ。日本での3年間で放った269安打のうち71本がホームラン、約半分の131本が長打であり、通算長打率は5割を超えている。打率は決して高くないものの、来日当時から比べると四球の数は着実に増えており、日本の野球に対する適応も見せている。守備も致命的に悪いわけではなく、内野と外野の両方を守れるというのも強みだ。長打力不足に悩む球団にとっては、獲得を検討しても面白い選手と言えるだろう。

 日本の他球団でプレー経験のある選手を獲得することは大当たりというよりも、ある程度の活躍を見込んだある意味“守りの補強”ではあるが、それが上手くいくケースがあることもまた事実である。先述したサファテなどは大成功した例だが、それ以外にも野手ではバルディリス(阪神オリックス→DeNA)、ブラゼル (西武→阪神→ロッテ)などが移籍先で主力となっている。今シーズンも彼らのように見事な復帰劇を見せる助っ人が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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