カリスマ写真家・平間至が実践する「マニュアル露出」の哲学 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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カリスマ写真家・平間至が実践する「マニュアル露出」の哲学

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米倉昭仁dot.#アサヒカメラ
ひらま・いたる/1963年、宮城県生まれ。87年、日本大学芸術学部卒。2015年、平間写真館TOKYOをオープン。主な写真集に『MOTOR DRIVE』『Hi-Bi』『捨て猫ミーちゃん』『田中泯-場踊り-』『Last Move
ment』など多数。

ひらま・いたる/1963年、宮城県生まれ。87年、日本大学芸術学部卒。2015年、平間写真館TOKYOをオープン。主な写真集に『MOTOR DRIVE』『Hi-Bi』『捨て猫ミーちゃん』『田中泯-場踊り-』『Last Move ment』など多数。

ニコンD4S・AF-S ニッコール 85ミリF1.4G・ISO200・絞りf5.6・125分の1秒(撮影/平間至)

ニコンD4S・AF-S ニッコール 85ミリF1.4G・ISO200・絞りf5.6・125分の1秒(撮影/平間至)

特性曲線

特性曲線

 本誌月例コンテストで選者を務める平間至さんが東京・三宿に「平間写真館TOKYO」をオープンしたのは5年前。

【写真】露出のテクニックを実践した平間さんの作品はこちら

 昨年春、ここで撮影したポートレート写真を「平間至写真館大博覧会」と題してニコンプラザ「THE GALLERY(東京と大阪)」に展示した。間近でプリントを見ると、モノクロの美しいトーンがとても印象に残った。作品づくりのコツを聞いてみた。

* * *
「それは暗部のつくり方でしょうね。でも、特殊なことはぜんぜんやっていないです。心がけているのは、できるだけ写真として自然な描写をすること。デジタルの撮って出しの状態で、ほぼイメージどおりになるようなライティングと露出で撮影しています」

 つまり、シャッターを切った瞬間に絵を完成させるのだという。

「デジタルだからといって、ラフに撮って、後で露光量やコントラストを調整しすぎてしまうとバランスが崩れてしまう。それが画面に出てしまいます」

「でも、そこまで気を使わなくても最近のデジタルカメラはよく写るじゃないですか」と、疑問をぶつけると、露出に対する考え方が根本的に違うのだという。

「『写るには写る』『とりあえず写る』とか、『露出がダイナミックレンジに収まっていればいい』的な考えはいっさいないんです。シャドーからハイライトまでのトーン、その元となるのが『特性曲線』(左の図)です。露出を上げ下げすることによって特性曲線のどの部分を使うかが変わってくる。それがトーンに影響してくる。プリントの覆い焼き、焼き込みもある意味、トーンのバランスを崩している。一部のバランスを崩しながらも画面全体のバランスをとるわけで、基本的にはしたくないんです」

 幼いころから平間さんの体には写真のトーンというものが染みついているのだろう。

 1963(昭和38)年、平間さんは祖父の代から続く写真館「ひらま写場」(宮城県塩竃市)で生まれ、育った。

「写真を撮る、ということではいろいろ鍛えられているんだろうな、と思います。ある意味、英才教育ですから。ほんとに」

 子どものころ、学校から帰ると証明写真用に撮影したシートフィルムの現像作業に見入った。

「それをさらに修整をするんです。いまでいうレタッチ。肌のしみなどのハイライトに鉛筆で黒をのせていく。6Hとか硬い鉛筆の芯をすごく細長く伸ばして、力が入らないようにして」

「まさに職人芸ですね」

「ほんとうにそのとおりです。最近、自分で写真館をやり始めて気づいたんですが、これまでさまざまなメディアで撮影してきたことは写真館をやるための修業だったんです。それにようやく気づきました」

 


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