■一歩踏み出したその先にあるワクワク感や充実感

 50代にもなると、仕事や日常生活において、多少ピンチな場面に遭遇したとしても、大抵のことは何とか収められてしまう。それが今までの経験で培ってきた「力」でもある。しかしその反面、できないことにあえて挑戦する「心の筋力」は落ちてくるのではないだろうか。

 また、夫や自分の両親の介護や看取りを経験したり、同世代の友人を見送ることも増えてきた。会社員なら定年退職がぼんやりと視野に入り始め、この先どうするかを考えたり、今まで思いもしなかった「自分に残された時間」を意識し始めるのも、この世代ではないだろうか。

 人生はまだまだ続く? いや、そうでもないかもしれない。やってみたいと思うこと、そして自分にとっての欠落を埋めるには、体力も気力もある50代はラストチャンスかもしれない。新しいことに挑戦することは勇気がいるが、思いもかけない充実感や、大人になったからこそ感じる楽しさに出会える可能性も大いにある。どんな小さなことでもいい。新しい一歩を踏み出す勇気を。(取材・文/スローマリッジ取材班 内田いつ子)