プロレスは戦いであるが、作品であり芸術でもある。そこにはレスラーのみでなくお客さん、つまり会場との共同作業も必要になる。「プロレスは相手とともに客とも戦わないといけない」と言われるのもそのため。会場内の熱が高まらなければ、後世に伝わるような試合は生まれにくい。

 見終わった時に満足感、充実感を味わえること。チケット代と比較してコスパの良さを感じること。何年にもわたって語り合えるような一日であったこと。それらを求めるために客はプロレスに足を運ぶ。その期待に応えるためにプロレスラーは体を張る。『お笑い系』もまた然りだ。プロレスはレスラーと客、究極の戦いでもある。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍やホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!オフィシャルページにて取材日記を不定期に更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。