田村耕太郎さん
田村耕太郎さん
不機嫌は伝染する
不機嫌は伝染する

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「何かと八つ当たりをしてくる人」について。

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【相談】
 私のパートナーについて相談をしたく、ご連絡を差し上げました。

 彼女はふだんとても快活で優しい性格なのですが、最近、仕事で対人関係の強いストレスを受けているせいか、私へのあたりが非常に強くなっています。

 細かい言葉尻をとって責めてきたり、すぐに不機嫌になったり……。よかれと思ってしたことでも怒られてしまいます。
 ただ、ストレス下にいないふだんの彼女は一緒に居て楽しいですし、尊敬しているので、なんとか乗り越えたいと思っています。

 この辛い時期を乗り越えれば、またふだんの彼女が戻ってくることは経験でわかっているのですが、どうしても逃げたくなってしまいます。

 家庭でも職場でも、違う要因でピリピリしている人には、どうやって接したらいいのでしょうか。

■ふんわりと受け止めてあげる

 私も昔は八つ当たりのようなことをしたことがありましたが、不機嫌を人にぶつけても、筋肉は凝るし血圧にも影響が出るし、病気になりそうでいいことは全くありませんでした。最近はピリピリすることもずいぶん少なくなった気がします。
 怒って毒を吐いても、人間として品性の低下を外に見せるだけ。嫌なことがあってもたんたんと受け流すことで徳を積めますし、人間的な魅力も増すということに気がつきました。エネルギーの無駄だと気がついたのです。

 残念なことに、日本は“ピリピリ国家”だと感じます。私は今シンガポールに住んでいますが、日本に帰ってくるたびに街中の人からピリピリ光線を感じます。それだけ余裕が持てない中で暮らしている方が多いのでしょう。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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