野手陣は8年前から大きく様変わりした。キャッチャーは完全にディフェンス型の山倉、達川の二人が中心。安全策の山倉、強気の達川と持ち味が違うのも面白い。若手で伸び盛りの伊東も含めたこの三人は派手さこそないものの、玄人受けするなかなかの顔ぶれだ。

 打線は1985年から2年連続三冠王に輝く落合が不動の4番。その前後を8年前にも選んだ掛布、山本という脂の乗った二人が挟む形とした。全員が広角に長打を打てる技術の持ち主であり、破壊力は抜群だ。その中軸に繋ぐ役割を担う高橋、篠塚の1、2番もチャンスメーカーとして十分な実力を誇る。また、9番の松本と、1番の高橋と足を使えるスイッチヒッターが並ぶのも面白い。

 クリーンアップの後にも勝負強さのある田尾、衣笠を並べることで得点力アップを狙った。大石、高木、蓑田と足も使えて打力のある三人が控えにいるというも豪華である。時期的にはちょうど西武の黄金期が始まる直前ということもあるが、あらゆる球団から個性の強い選手が集まったという印象だ。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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