「だいたいさ、仕事が大変だ大変だってみんな文句言うけど、仕事なくなったらどうすんの。仕事がないより、あるほうがよっぽどマシじゃない。僕だって一生懸命頑張ってんだよ。お前なんか何もしてないみたいな目でみんな見るけどさ。(略)自分のことばかり考えやがって、って思ってるんでしょ。それの何が悪いの? 僕はね、僕ひとりのことだけで精一杯。(略)それでもやるしかないじゃない。嫌でも仕事しなきゃ、食っていけないんだからさ」

 目をうるませ、息を過呼吸みたいにハアハアさせながら、ブラック上司ならではの論理を主張。このドラマでの怪演には、SNSで「不気味な圧がうまい」「素に見えるから余計怖い」「ユースケ本人まで嫌いになりそう」といった声が毎回あがったが、なかでも真骨頂というべき場面だった。

■しゃべり方と顔色に特徴

 ではなぜ、彼の悪役ぶりは素晴らしいのか。ひとつには、そのしゃべり方がある。声を張らず、どこかうじうじとして、持って回ったように聞こえるそれは、特に年配層のウケがよくない。筆者の母(70代)なども、彼が司会を務める「世界ナゼそこに?日本人」を見ながら「この人のしゃべり方、すごく嫌だ」と言っていたものだ。

 司会といえば、10月から「先生、、、どこにいるんですか?」という有名人の恩師を探す番組も始まったが、じつはこれ、特番時代は「先生、、、生きてますか?」というタイトルだった。彼いわく「クレームがすごくて。年配の方から不謹慎だと」という事情で、変更。もしかしたら、彼のしゃべり方がよけいにいらつかせたのかもしれない。

 そして、もうひとつが顔色だ。不気味な公家などを得意とした成田三樹夫もそうだったが、顔色のさえない人は悪役に向いている。そういえば、ユースケがドラマ「アルジャーノンに花束を」に主演した際、母親役のいしだあゆみが「笑っていいとも!」でこんなことを言っていた。

「主役のユースケさんが頼りなくて、心配なの。この人で、大丈夫かしら。顔色も悪いし」

 お前が言うか、という気もするが、その2年後、ユースケは体調を崩したりした。顔色がさえないのは、そうした健康面の影響もあるのだろう。ただ、そこが役作りにはプラスにも働くのである。また、彼は近年、不健康なイメージを逆手にとるかのように、さまぁ~ずの大竹一樹と「オータケ・サンタマリアの100まで生きるつもりです」という健康番組もやったりした。

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要するにつかみどころがない