西武のリーグ優勝に貢献したニール (c)朝日新聞社
西武のリーグ優勝に貢献したニール (c)朝日新聞社

 ペナントレースは西武が連覇を達成したものの、クライマックスシリーズでは2年連続でソフトバンクが逆転を見せた今季のパ・リーグ。来季に向けて各球団が補強に動いているが、改めて今シーズンの外国人選手の活躍度と来季に向けての展望について診断してみたいと思う。

【ファンが選んだ平成で最もカッコいいバッティングフォームはこの選手!】

【西武】
2019年外国人選手活躍度:B
来季の外国人選手展望:C

・外国人投手合計成績
94試合17勝10敗3セーブ17ホールド

・外国人野手合計成績
75試合27安打6本塁打31打点0盗塁

・外国人選手MVP:ニール
17試合12勝1敗0セーブ0ホールド 防御率2.87

 今シーズン救世主的な存在となったのが先発右腕のニールだ。不安定な投手陣の中にあって夏場以降は完全にローテーションの中心となり、12勝1敗という成績を残してチームのリーグ優勝に大きく貢献した。しかしニール以外の外国人はリリーフのマーティン、ヒースがともに昨年よりも安定感を欠く内容に終始し、唯一の野手であるメヒアもシーズン終盤で貴重なホームランはあったものの、来日6年目で最低の成績に終わった。トータルで見れば外国人選手の貢献度は高くなかったと言えるだろう。

 大活躍を見せたニールは2年契約を結び残留となったが、それ以外の選手の去就は不透明な状態で、一気に入れ替わる可能性が高い。ここ数年は毎年新外国人を獲得しているが、大きな戦力になったのはニールくらいで、当たる確率が低いのが気がかりだ。ニールが2年目のジンクスに苦しむようだと、今年以上に厳しい状況に陥ることも考えられるだろう。

【ソフトバンク】
2019年外国人選手活躍度:A
来季の外国人選手展望:B

・外国人投手合計成績
90試合12勝10敗4セーブ34ホールド

・外国人野手合計成績
240試合240安打65本塁打158打点4盗塁

・外国人選手MVP:モイネロ
60試合3勝1敗4セーブ34ホールド 防御率1.52

 主力選手に故障者が多い中でもリーグ2位、そして日本シリーズ3連覇を達成できたのは投打にわたる外国人選手の活躍が大きかった。中でもMVP級の働きを見せたのがリリーフ左腕のモイネロだ。来日3年目で自身最多となる60試合に登板し、チーム最多となる34ホールドをマーク。防御率は1点台、奪三振率も13を超えるなど、セットアッパーとしてチームに欠かせない存在となっている。野手もグラシアルとデスパイネの二人がシーズンを通して中軸として機能し、打線の中核を担った。彼らの存在がなければ、更に苦しいペナントレース、ポストシーズンになったことは間違いないだろう。

 しかし来季はここ数年先発の一角を担っていたバンデンハークのメジャー復帰が噂されており、今シーズン7勝をマークしたミランダも退団が濃厚。グラシアルとデスパイネも年齢的な衰えが心配される。スチュワート、コラスといったこれからが楽しみな若手が控えているのはさすがだが、来年だけを見ると今年よりも苦しい布陣となる可能性は高い。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
楽天、ロッテの順位は“助っ人”の差?