文部科学省の前で抗議する市民ら(c)朝日新聞社
文部科学省の前で抗議する市民ら(c)朝日新聞社

 大学入学共通テストの見直しを求める声が高まっている。

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 この新入試制度で受験する高校生に、話を聞いてみた。筑波大学附属駒場高校2年の男子生徒である。彼は、9月に文部科学省前で行われた共通テスト中止を訴える抗議行動にも参加していた。

―――大学入学共通テストの根本的な問題点はどこにあると考えますか。

 入試制度改革の流れをみて感じたのは、試験本番の運営のことをなにも考えていないということです。どのような事務的手続きが必要なのか、いかなる不測の事態が起きるのかについて、まったく対応できていません。きちんと制度設計しているのでしょうか。50万人の受験生が同時に受ける試験なのに、試験内容、スケジュール、実施会場などの決め方が、行き当たりばったりです。入試政策うんぬん以前に、入試実施にあたっての運用能力に問題があります。最近でも、英検の申し込み期限が延期されました。はずかしくないのでしょうか。民間委託といいながら、民間ならばこんなことは通用せず、問題視される事態です。

―――英語民間試験の活用はどのあたりに問題がありますか。

 地方在住の受験生、ハンディキャップを持つ受験生に対して、大学受験の機会が平等に与えられていません。公平性が保たれていません。ぼくはこの問題で全国の高校生に独自調査をしました。地方の高校生は英語民間試験を受けるだけで交通費、宿泊費がかかってしまい、親にこんな負担はかけられないと憤っています。ハンディキャップについては、吃音の高校生にスピーキングの試験で長めの時間を設けるといった配慮があるのか、全然わかりません。それゆえ、心配しています。英語民間試験を受けるまでの手続き、試験の内容がまだ十分に明らかにされていない。中身が発表されても不備が多い入試制度です。都会の高校に通うぼくらにも詳しい情報が入ってこない。ぼくが通っている学校で「共通ID」が話題になったとき、「まだなにも決まっていないのか」「あまりにもずさんだ」という声が多くあがりました。

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