そのためにもリスペクトが必要です。そしてそれが、アホ対策にもなります。

 敵意しか持たないアホも、周りから敬意を持たれれば人間として進歩するかもしれません(調子に乗って、アホさに拍車がかかるかもしれませんが)。

 次は親切さです。先日、私の大切な友人が、混雑する新橋駅でウイークデーの8時ごろ貧血で倒れたというちょっとした事件がりました。にもかかわらず、30分ほどホームに放置され、助けたのは出張で来ていたドイツ人だけでした。彼女は腕を骨折していました。 

 東京は顕著かもしれませんが、日本は周りへの親切さが足りないように感じます。妊婦さんや障害のある方々には、特に世知辛いと聞きます。

 アホだろうが誰だろうが、もっと親切にすべきだと思うのです。周りの目を気にせず行動を起こすには、必要以上に親切にするくらいの意識でちょうどいいでしょう。

 本当は親切心を持っている人も多いはずなのに、それを行動に出せない人もいるでしょう。その背景にも日本社会特有の同調圧力があります。「みなが見ている前で助けるのは恥ずかしい」とか、「会社に遅れてしまうから見て見ぬ振りをする」とか、そういった考え方です。

 これを打ち破るには、必要以上の親切心を持つしかありません。これはアホ対策としても有効です。

 最後に、何より人生を楽しむことを心がけましょう。今の日本人は、同調・規律を保つために生きているのではないかと思うことがあります。「そんなことでは死ぬときに後悔するよ」と余計なおせっかいで心から忠告したくなります。

 死ぬときに持っていけるのは思い出だけです。世間に同調するためだけに生きて来た思い出だけでは、死ぬときにさびしくはありませんか?

 人生で最も大事な資産は時間です。時間は平等であると同時におカネでは買えません。

 その時間を最も有効活用するには、常にハッピーであることです。ハッピーであるようにふるまい心掛けることです。それが他者への態度であるべきだと思うのです。

 自分のハッピーさを他者に押し付けるのではなく、自分がハッピーであればそれは周りに伝わります。前述のリスペクトも親切さも、自分がハッピーでないと自然と生まれてはきません。

 漠然と「仲良くすること」よりも「リスペクト」「親切心」「楽しむこと」を具体的に周りに対して持つことをお勧めしたい。これを皆がシェアしていけばアホが減っていくように思います。その中心には「自分の人生を大切に生きること」があるべきです。

 そこからすべては始まり、生まれてくるのです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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