そんな過酷な試験を見事に突破した枡野さん。ただ、当初思い描いていたことと仕事のギャップを感じ始める。

■転職を繰り返すこと3回の末にたどり着いたのは

「プロジェクトごとに世界中の支社から適材な人選をしてチームを組みます。そのため2、3カ月おきに社内で面接があるイメージですね。とはいえ、私のバックグラウンドなどを見て選ばれる仕事は日本の企業がほとんどでした」

 自分が思い描いていた国際的な課題解決とは異なり、割り当てられる仕事は国内での仕事ばかり。そんなとき、枡野さんにとって革新的なビジネスモデルを掲げる企業との出合いがあった。オンライン英会話の「レアジョブ」だ。

「インターネットを活用して、英語が苦手な日本人と、英語はできるけどよい仕事がないフィリピン人を結びつける。フィリピン人を講師にすることで雇用を生み出し、それを日本で低価格で提供する。お互いに利益があるうえでの問題解決の仕方に衝撃を受けました。知人にレアジョブを紹介されて、当時はまだ社員は4人とかで会社も六畳一間のスペースだったのですが、『こういう仕事をしてみたい』と強く思いました」

 2009年にレアジョブへ転職。法人事業を1年で黒字化させると、翌10年には、同じくインターネットを活用し、保険を提供しているライフネット生命保険に転職した。ちょうど会社が海外展開を進めるタイミングで、自分のやりたいことと一致していると思ったのだ。

 しかし、「保険」という商品には、縛りも感じていた。

「保険というのは各国の行政にしばられていて、法律の規制が厳しい。『人が亡くなったらいくら支払います』という基準を作ってあとは支払いの通貨だけ変えればいいというわけではない。法だけではなく、国によって死亡率も異なります。そうしたところに不自由さを感じたのです」

■「一度履いてみてください」と渡されたパンツ

 そんなとき、マッキンゼー時代の同期から現在のTOOTの社長の話を持ちかけられた。00年に同社を設立した初代の社長が退任するため、後任を探していたのだ。

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初めて履いたパンツの衝撃