■来年には冠番組を持つはずだった

 全国ツアーのチケットも即完売するほど、飛ぶ鳥を落とす勢いのEXITに突如として突きつけられた未曽有の大ピンチ。果たしてふたりはこのまま消えゆく運命なのだろうか。スポーツ紙の芸能担当記者は次のように語る。

「口調はパリピのチャラ男なのですが、意外としっかり構成ができているしゃべくり漫才で、ネタの評価はかなり高い。『バイブスいと上がりけり』『おあとがヒュイゴー』など、古典用語とパリピ用語を兼ね合わせたフレーズのセンスも秀逸。見た目も良く、若者から支持があるのも頷けます。闇営業騒動で一時は吉本興業自体の存続まで危ぶまれていましたが、謹慎芸人が続々と復帰したいま、コンプライアンスやスポンサー至上主義なテレビ局のスタンスに対して、世間が食傷気味であることもたしか。過去の罪で有望な若手芸人の目を摘むのは誰も望んでいないはず。闇営業騒動直後だからこそ、彼らにも神風はきっと吹くでしょう。テレビ的にはこのままいけば『来年には冠番組を持つはず』と言われていたふたり。今回の件で少し遠回りにはなるかと思いますが、いずれは自分たちの力で再び脚光を浴びるようになると思いますよ」

 TVウオッチャーの中村裕一氏も、彼らの可能性には太鼓判を押す。

「ひとことで言うと、上の世代にはない誠実さと潔さが彼らの最大の武器です。問題が起きても曖昧な言葉ではぐらかしたり、事実関係をうやむやにして逃げたりせず、正々堂々と受け止め前に進んでいく姿に心を打たれた人も多いのではないでしょうか。兼近のツイッターでの『過去の法律違反を美談にする気も肯定する気もありません』『永遠に背負い続ける』というコメントが象徴的です。自らの過ちをごまかしたり、自分のことしか考えず逆ギレしたりする大人があまリにも多い今の世の中で、彼らの姿勢は非常に貴重です。まさに『芸人は破天荒であれ』『周りに迷惑をかけてこそ芸人だ』などという、従来のお笑い界にはびこっていた価値観のパラダイムシフトを体現している彼らなら、きっと世の中のさまざまな古い呪縛から抜け出し、新しい笑いを生み出してくれることでしょう」

 大ピンチに巻き込まれても、彼らならではの対処法で逃げも隠れもしないEXITのふたり。今回のトラブルも「おあとがヒュイゴー」となることを切に祈りたい。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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