「たまにしか実家に帰らず、その時にしか見ないものは、忙しい日常生活の中で、本当に必要なものだったのだろうか?」「本当に必要なものなら、実家から持ち帰るべきだった」と。

 終わったことは仕方ありません。自分のコントロールできるものにエネルギーと時間を使うのが鉄則です。謝罪が欲しかったとのことですが、それは気持ちの整理のきっかけに過ぎず、謝罪をされたとしても、タイムマシンではないので終わったことは変えられません。

 相手の気持ちはコントロールできないですし、謝罪を求めてさらに関係が悪化するのも望ましくありません。

 突き放すように聞こえるかもしれませんが、気持ちの整理は自分でつけましょう。時間が経てばきっと許せますよ。

 そもそも親との関係性は、多かれ少なかれ皆そんなものだと思います。「縁を切りたい」という気持ちを持たれる時期があることも自然なことです。

 あなたとご両親は生きて来た時代も、常識も違うのですから。親子でも違う人間であり、価値観も違うので、常に仲がいいというのが難しいのは当たり前です。

 自分自身が親になってわかったことなのですが、子供時代からしつけをしてきた立場なだけに物言いにもコミュニケーションにも“はにかみ”があって、なかなか変えられないのです。子供を一人前と認めたい気持ちはあるものの、「いつまでも子供」という感覚も残っているため、我が子を独立した一人の人物として向き合うのが、少し気恥ずかしくもあるのです。

 だからこそ、お互いを前にすると口下手になり、言葉を伝えにくいというのが普通の親子です。

 ここで少し知っておいてほしいことなのですが、子供を大人にするまでは実は大変な作業です。放っておいても育つという意見もありますが、結構そうでもありません。危うい赤ちゃん・子供の時期を乗り越えさせてくれた親に感謝の気持ちを忘れてはいけないと、私は思うのです。

 あなたにはあなたの価値観があるように、親は親で自分が生きて来た常識に基づいた価値観を持っているため、いつまでも子供が頼りなく心配に感じるのです。

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