田村耕太郎さん
田村耕太郎さん

勝手に物を捨てられた恨みはなかなか消えないもの(写真:MAI/PIXTA)
勝手に物を捨てられた恨みはなかなか消えないもの(写真:MAI/PIXTA)

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。

 日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「親との関係性」について。

*  *  *

【相談】 親が嫌いです。父親は頑固でコミュニケーションが得意でない人間で、母親は非論理的で感情的です。「こうすべき」「こうあるべき」という感覚が非常に強く、小さい頃から母の価値観に合うことしか、させてもらえませんでした。

 褒められたこともほとんどなく、自分は本当にこの両親の子なのか?とさえ思うことがありました。家族の中で、ずっと自分がひとりぼっちでいる感覚を覚えてきました。

 先日、たまに実家に帰ったときに、私のタンスにしまっていた思い出の品が勝手に父親に捨てられていることに気がつきました。何故勝手に捨てるのかといただしたところ、「ここは俺の家だ」の一点張りで、話になりませんでした(謝ってくれたら許すつもりでいました)。どうにかして気持ちを伝えたくて、手紙を渡したのですが、それさえもすぐに捨てられていました。母親からも「あなたが悪い」とだけで、やはり自分はこの家族の中でひとりぼっちなのだと思いました。

 仲のいい親子など幻想なのでしょうか。良好な親子関係をつくるには、どうしたらいいのでしょうか? いっそ縁を切りたいという思いがある一方で、まだ望みを捨てきれないのかも知れません。

 またこのような親子関係だったせいか、結婚や家族をもつことに対して、非常に消極的な気持ちでいます。こんな私はどうしたらいいのでしょうか。

■今度はこちらが大人になろう

 実は私も、親にはよく勝手に物を捨てられていました。なので、気持ちはよく理解できます。しかし、やがてこう思うようになりました。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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