もしもこの記録という大きな壁を越えることができたなら、卓越した水泳センスを持つ萩野であれば、きっと200m個人メドレーでは東京五輪でメダル争いを繰り広げるまでになることだろう。

 厳しいのは、リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した400m個人メドレーだ。こちらは高い持久能力が必要になり、水泳センスだけでは太刀打ちできない種目である。正直、400mで萩野が東京五輪を戦えるビジョンは見えてこない。

 だが、勢いづいた萩野が止められないのは、2012年のロンドン五輪で銅メダルを獲得して以来、リオデジャネイロ五輪の金メダル獲得まで一気に駆け抜けたのを見れば分かる。

 いずれにせよ、9月の国体での萩野の泳ぎが、今後を占う試金石になる。スイミングワールドカップから1カ月。気持ちを吹っ切った萩野がどんな泳ぎを披露するのか。ワクワクする気持ちは、今も収まらない。(文・田坂友暁)