幌延町が主催する秘境駅関連イベント時、多くの訪問客でにぎわった雄信内駅(写真提供/幌延町企画政策課)
幌延町が主催する秘境駅関連イベント時、多くの訪問客でにぎわった雄信内駅(写真提供/幌延町企画政策課)
秘境駅ランキング9位の糠南駅。駅キャラ「ぬかにゃん」のモチーフにもなった「ヨドコウ物置」(ホーム右手)がワンポイント(写真提供/幌延町企画政策課)
秘境駅ランキング9位の糠南駅。駅キャラ「ぬかにゃん」のモチーフにもなった「ヨドコウ物置」(ホーム右手)がワンポイント(写真提供/幌延町企画政策課)
「ぬまひきょん」が描かれた、秘境駅ランキング23位の下沼駅。車掌車改造の駅舎はファンの間で“ダルマ駅”と呼ばれる(写真提供/幌延町企画政策課)
「ぬまひきょん」が描かれた、秘境駅ランキング23位の下沼駅。車掌車改造の駅舎はファンの間で“ダルマ駅”と呼ばれる(写真提供/幌延町企画政策課)
2019年8月10・11日に幌延町内で開催された「第49回ほろのべ名林公園まつり&秘境駅フェスタ」で実施された「秘境駅バスツアー」での糠南駅訪問(写真提供/幌延町企画政策課)
2019年8月10・11日に幌延町内で開催された「第49回ほろのべ名林公園まつり&秘境駅フェスタ」で実施された「秘境駅バスツアー」での糠南駅訪問(写真提供/幌延町企画政策課)

 北海道・宗谷本線沿線の幌延(ほろのべ)町は、町内にある8駅中の6駅が「秘境駅ランキング」100位中で52位以上に選出された秘境駅として知られる。

【写真】「ヨドコウ物置」がワンポイント、秘境駅ランキング9位の糠南駅

 2016年にはJR北海道から、そのうち糠南(ぬかなん)・南幌延・下沼(しもぬま)の3駅の廃止を打診されたが、幌延町はこれを甘んじて受け入れることなく、秘境駅を「まちおこし」の貴重な資源として廃駅を阻止し、さらに町への来訪者を増やすための重要なアイテムにしようと、さまざまな取り組みを続けている。

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■乗客「ほぼゼロ」でも存続させた6つの秘境駅

 幌延町は北海道北部に位置する人口約2300の町で、町内を宗谷本線がほぼ南北に縦断している。旭川から町の中心駅・幌延までは、特急「宗谷」「サロベツ」で2時間45分ほど。

 町内に位置する8つの駅のうち、秘境駅訪問家・牛山隆信さんによる「秘境駅ランキング」(2019年版)には、糠南(9位)、下沼(23位)、安牛(やすうし=31位)、南幌延(43位)、上幌延(44位)、雄信内(おのっぷない=52位)がランクイン。ランク外は幌延と、町南部の問寒別(といかんべつ)の2駅のみとなっている。

 もちろんこれら秘境駅の乗降客は「ファンを除けば、ほぼゼロ」という状況が続く。

 そのためJR北海道は16年に「翌17年3月のダイヤ改正で、特に乗降客が少ない糠南・南幌延・下沼の3駅を廃止したい」との意向を示した。これに対して幌延町は、町が駅の維持管理費を負担することを条件に、存続させることを決定した。町の年間負担額は、計159万円と見積もられた。

 幌延町は3駅の廃止を打診される以前の15年度から、「秘境駅の里『ほろのべ』」をキャッチフレーズに、鉄道系資源を活用した「まちおこし」活動を具体化してきた。

 秘境駅ランキングの100位以内に6駅もランクインするのは"自治体秘境駅数日本一"となる。これを、幌延町を訪れる人の増加に役立たせる手段にしようというチャレンジが、いまも積極的に続けられている。

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「秘境駅フェスタ」を開催、物置モチーフの駅キャラも