ついに第1期の販売が終了した東京五輪・パラリンピック選手村マンション「晴海フラッグ」。600戸の売り出しに対し、1500超の申し込みがあり、平均倍率2.57倍。1億円を超える人気住戸の最高倍率は71倍となった。引き渡しが2023年、交通網など不透明なところも多い現状で、その真価を『選手村マンション「晴海フラッグ」は買いか?』(朝日新聞出版)の著者でもある住宅アドバイザーの三井健太氏にレポートしてもらった。

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【建物評価】 建物の評点80は上の中、5段階評価では★★★★☆となります。これに立地条件の評価が加味されてマンションのトータル価値となります。

 建物評点(立地評価は含まない)は大型開発らしい高得点が出ました。私が査定した5000戸以上のマンションの過去最高点は83点でしたので、一歩足りない結果ですが、それでも申し分ないレベルです。気になるのは管理費がやや高いことですが、サービス内容や共用施設の充実などを考慮すれば、対価としては少ないくらいと言えますし、10年払っても、他物件より80万円~120万円程度多いだけなので問題ないレベルと言えます(修繕積立金については正確な情報ではありませんが、ほぼ同様です)。

 マンションの価値は、後述しますが「差別化された(明確な差別感がある)物件であるか」にかかって来ます。本物件は評判以上の価値ある建物と言えましょう。将来のリセールに際して内見者をいかに感動させるか(感動してくれるか)という視点で見ることも大事です。感動要因が数多く、つまり「すごい・素敵」を連発させられるかがカギになるというわけです。

 その意味から、本物件は建物、ランドスケープで中央区ではありえない感動要因を多数有するマンションとなりましょう。

【立地評価】 マンションの価値を大きく左右するのは立地条件ですが、本物件の最大の弱点は駅からの距離です。徒歩圏に鉄道はなく、いわゆるバス便マンションという位置づけは過去の事例から例外なく低い評価になります。付加価値豊富な大規模な面開発マンションでも、バス便マンションの価格は低いのです。

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これまでのバス便マンションとは違う?