試合後に「古田だよ、演出したのは」と仕掛け人の存在を明かしたのは、ほかならぬ野村監督。「打ちたかったね、久しぶりに。バーンとホームラン。センターオーバーのホームランを」と、ヤクルトのユニフォームでは初めての打席を振り返った。

 一方、“仕掛け人”の古田は「足のほうもちょっとお悪くなってるんで、打席に立つかどうかはわからなかったんですけど、試合前に言ったら『やるか』っておっしゃってたんで。野村監督も最初は『立つだけだ』とか言って、『バットも持てない』って言ってたのに、バットも構えていただいて、最後は振りましたからね。やっぱそういうもんでね、すごく良かったです」と話すと、背景にファンの声があったことも明らかにした。

「僕も人から言われたことなんですけど……スワローズファンからね。『(野村)監督を見たい』って。あんまり監督を見れないじゃないですか、ベンチにずっとおられたら。どんな形でもグラウンドで見たいっていうんで、思い切ってダメ元で『打席どうですか?』って言ったら『行こうか』みたいな感じで、(一緒に)打席まで行きますんでっていう形でね」

 雨模様のため、当初の7イニング制から5イニング制に短縮されていた試合は、90’s側の「泣きの1イニング」で6回まで伸びたが、3回に一挙6点を挙げていたLEGENDSが6対3で勝利。二塁打を含む3安打、1打点の岩村が最優秀選手に選ばれた。

 現役時代のトレードマークだった赤のリストバンドに加え、革手袋とバットもコーチ時代の教え子である山田哲人に借りたという池山は、攻守に華のあるプレーで優秀選手賞と特別賞を受賞。「(山田に)感謝しないといけない。道具を借りて、あやかれて良かった」と顔をほころばせた。

 だが、この日の主役はやはり野村監督。試合後のセレモニーではスタンドを埋めたファンと、球団に対して感謝を述べると、「今は最下位。何をやってんだ! それが今の私の正直な気持ちです。1日も早く最下位を脱出して、ぜひ優勝戦線に加わってください」と、古巣にエールを送る。

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