参院選の目玉となるか? 山本太郎 (c)朝日新聞社
参院選の目玉となるか? 山本太郎 (c)朝日新聞社
俳優としての評価も高かった山本太郎(02年撮影)(c)朝日新聞社
俳優としての評価も高かった山本太郎(02年撮影)(c)朝日新聞社

 政治に興味を持ち、それを行動に移す芸能人は珍しくない。最近も元・モーニング娘。の市井紗耶香が参院選への出馬を表明した。が、芸能界出身の政治家が新たな世界でかつて示していたのと同じ存在感を見せることはなかなか難しいようだ。その貴重な例外と呼べそうなのが山本太郎である。

【写真】俳優時代の山本太郎

 2011年、東日本大震災を機に、反原発運動に目覚め、6年前の参院選で初当選。今年4月には、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げた。ここ数年の政局において、台風の目とまではいかずともその言動が注目されるひとりではある。

■メロリンQでダンスパフォーマンス

 そんな山本の芸能界デビューは、1990年。16歳で出演した「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」だ。素人高校生コーナー「ダンス甲子園」に「アジャコング&戸塚ヨットスクールズ」という3人組で出場し「ストロベリーQ(のち、メロリンQ)」なるパフォーマンスを披露した。競泳パンツに競泳帽、ステッキといういでたちで、胸にペンで文字を書き、へヴィメタを流しながら踊り狂ったり、指パッチンをやったりするハダカ芸だ。

 これを見たビートたけしは、

「しょうがねえなこりゃ。最後、ポール牧になっちゃった。なんだこれは。いろんなの、いるなぁ」

 と面白がったが、山本はこのおかげで高校ともめてしまい、留年、最終的に退学するに至った。しかも、この手の芸だけなら一発屋で終わるのがオチだ。実際「ダンス甲子園」からはL.L.BROTHERSのような実力派も世に出たものの、その人気は長続きしなかった。

 しかし、山本はその後、役者として大成していく。那須博之や井筒和幸、深作欣二といった映画監督に認められ「代打教師 秋葉、真剣です!」「ゲロッパ!」「バトル・ロワイヤル」といった作品に出演。朝ドラ「ふたりっ子」でヒロインの恋人を演じたり、大河ドラマ「新撰組!」で隊士のひとりに起用されたりもした。得意な役どころは、お人好しの熱血漢や情にもろいアウトロー。若い頃の芸風は、最近でいえば私生活のトラブルで消えた高畑裕太あたりに近い。が、彼は不祥事を起こすこともなく、イケメン系にはなかなかできない仕事を着実にこなし続けた。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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