タテルの全体像がわからないが、少なくとも複数の顧客は、銀行からローンを引き出したあと、信販会社のローンで数百万円単位を借りさせられていた。

 西京銀はこうしたローンの存在を知らなかったとしている。となると、銀行の知らないところで金利が高めの信販ローンが別に組まれ、空室などで返済困難となるリスクは銀行が把握する以上に高いことになる。

 不正を許した金融機関も不明を恥じるべきだろうが、資料を偽造して融資を引き出すのは、詐欺などの罪に問われてもおかしくない行為だ。それを主導したのが東証1部上場企業とあっては、厳しく処分されてしかるべきだろう。

 国交省は今月中旬、宅地建物取引業法にもとづく業務停止命令をタテルに近く下す方針だと発表した。

 国交省の認定では、タテルは15~18年の宅地売却336件で、預金残高などを記した顧客の資料を改ざん。営業部長ら31人が金融機関の融資を不正に引き出させたとしている。

 国交省はこれらが業務停止命令の理由となる「宅建業に関し不正または著しく不当な行為」にあたると判断したという。

 宅建業法では、行政処分を下す前に、処分を受ける者の弁明を聞く「聴聞」を設けるよう定めている。

■国交省に猛反論
 
この聴聞が先週21日に関東地方整備局で開かれ、これまで記者会見を開かなかったタテルの古木大咲代表が呼ばれた。

「事実に相違なく、反省している」

 意見を求められた古木氏は、殊勝そうに一言だけ述べた。

 だが、代理人弁護士が1時間半ほど遅刻して現れると、国交省の判断に猛反論し始めた。

「事実は間違いないが、(業務停止とする判断は)争う。誤りだ」

 宅建業法の行政処分には、業務改善命令(指示処分)、業務停止、免許取り消しの3段階が主にある。

 弁護士は、一連の行為が業務停止命令の理由となる「不正または著しく不当な行為」ではなく、指示処分の理由となる「取引の公正を害する行為」にあたるとし、業務改善命令にとどめるべきだと主張した。

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国交省の判断は?