真田幸村ゆかりの心眼寺(大阪)の門扉には、寺の定紋であり真田家の家紋である「六文銭」が示されている (c)朝日新聞社
真田幸村ゆかりの心眼寺(大阪)の門扉には、寺の定紋であり真田家の家紋である「六文銭」が示されている (c)朝日新聞社
武将の家紋などをあしらった岐阜県大垣市のコインロッカー(大垣市提供)
武将の家紋などをあしらった岐阜県大垣市のコインロッカー(大垣市提供)

「お宅の家紋は何ですか?」と聞かれて、即答できる人はどれくらいいるだろう。ある調査によれば、20~30代の若者100人中、8割が「わからない」と答えている(知楽社2018年1月調べ)。たしかに、現代では家紋に接する機会は多いとは言えない。イメージするのはお墓参り、冠婚葬祭、礼装用の着物に付く背紋……。若者が接する場面はあまり多くはない。

 家紋、といってすぐに思い浮かぶのは、水戸黄門の印籠についている葵の御紋ではないだろうか。そして、最近では、新天皇に関わる場面でよく目にした菊の御紋。あるいは、戦国時代を舞台にした大河ドラマの合戦のシーンで掲げられる幟(のぼり)についているマーク、と聞くと膝を打つ人も多いのではないか。

 時代劇の中でも人気はやはり群雄割拠した戦国時代。そのクライマックスともいえる関ケ原の戦いに至るまで、映画やドラマで数多く描かれてきた。武将が各々の家紋をつけた幟を掲げて突撃していく姿に、血湧き肉躍る心持ちになった人も少なくないだろう。なかでも赤備えの部隊としていまでも人気の高い真田勢。赤い地に染め抜かれた真田家の六文銭は、戦場でもとりわけ目立ったことだろう。この時代、大名にとって最も大切だったのは、家名を上げること、そして家名を残すこと。戦場で目立つためにも、家紋は重要な役目を持っていたことがよくわかる。

 近ごろでは、歴史好き女子に人気の戦国武将が多く登場するゲーム「戦国BASARA」で、憧れの伊達政宗様の家紋は「竹に雀(仙台笹)」と知って、家紋の魅力にはまっていくケースもあるようだ。

 そもそも家紋とは、その家々に伝わるマークである。多くは個人が持つものとされるヨーロッパの紋章と違うのは、家紋は祖先から受け継いできた家の歴史、象徴ともいえるものであるということ。子孫繁栄、武運長久を願うだけでなく、優れた意匠を持つ究極のデザインなのである。

■代表的な6種類の分類

 家紋の意匠は、日本ならではのモチーフから採られたものが多いのも特徴だ。代表的な6種類の紋をあげよう。

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