肘掛けにリクライニング以外のボタンが付いていれば、座面スライドである可能性が高い。かなり座り心地を改善させる機能なのだが、存在に気づかないのか乗車時に見る限りでは使われていないことが多い。だから、最新のE5系、E6系、E7系新幹線では廃止されてしまったのは残念である。

 逆に、こうした最新型新幹線・特急車両の多くで「枕」が装備されている。この枕は「上下の位置調整が可能」なので、自分の体に合わせて位置調整をしたほうがより快適だ。

 また、多くの座席には「ドリンクホルダー」が付いている。たまに「肘掛けにドリンクホルダーが装備されている」といった変わった装備位置の車両もあるので、まず位置を確認するといいだろう。

 グリーン車(などの優等設備)の座席を中心として、足のせ台が付いていることが多い。足のせ台は前の座席に設置されているタイプの「フットレスト」と、自分の座席の座面と接続し、太ももやふくらはぎを支えるタイプの「レッグレスト」がある(山陽新幹線のN700系「さくら」「みずほ」グリーン車には両方装備されている)。

 フットレストの設置場所はわかりやすいが、レッグレストは肘掛けなどに設置された操作パネルを触らないと、使えないものが多いので注意が必要だ。レッグレストは使用すると快適性を相当向上させるし、座席を向かい合わせにしても使用できるメリットもある。積極的に活用していきたい設備だ。

 なお、こうしたグリーン車では、肘掛けの内部にテーブルが収納されていることも多い。これはテーブルを展開した方が便利なので、確認しておこう。

「シートサービスの活用」も、旅を楽しくする工夫だ。小田急ロマンスカーや東武特急では「ホームページに記されたサービスメニュー」を電話で予約することで、自分の座席までお弁当などを届けてくるサービスがある。どちらも品質が高く、ここでしか注文できないメニューもあるので「とっておきの旅」を盛り上げるイベントとして、注文してみてはいかがだろうか。

■快適性を向上させる工夫

 鉄道やバスは公共交通機関なので、個人の体形に合わせた座席とは限らない難点がある。自分に合わない背もたれや座面の座席は、座り心地が悪くなり、疲れやすくもなる。携帯用まくらか、ミニクッションを旅行道具に入れておくのも手である。

 背もたれの形状が合わず、首が浮いてしまうケースや、腰に隙間ができるケースなどで、ミニクッションが隙間を埋め、座席の座り心地を確実に向上させてくれるだろう。また、眠って疲労を回復させたい場合は、アイマスクの持参も効果的である。疲れた体に列車の振動は、時として快適すぎる場合がある。快眠が悪夢にならぬよう、目覚ましアラームは忘れずに!
 
●安藤昌季(あんどう・まさき)/1973年、東京都生まれ。乗り物ライター兼編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表。『教えてあげる諸葛孔明』や『旅と鉄道』『鉄道ぴあ』など、歴史や乗り物記事の執筆・企画・イベントを多数手がける。