川崎19人殺傷事件 怒りが「置き換え」によって子どもたちに向けられた 精神科医が分析 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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川崎19人殺傷事件 怒りが「置き換え」によって子どもたちに向けられた 精神科医が分析

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金城珠代dot.
事件直後にスクールバス付近を調べる警察官や救急隊員(c)朝日新聞社

事件直後にスクールバス付近を調べる警察官や救急隊員(c)朝日新聞社

 それと同じメカニズムが働いていると考えられる事件もしばしば起きています。去年の6月、東海道新幹線でなたを振り回した小島一朗被告(当時22歳)も、実の両親とうまくいかず、姉とのきょうだい格差に悩んでいました。中学生のとき姉は新品の水筒を買ってもらったのに、彼は中古のものしか与えられず、両親の寝室で暴れて警察沙汰になっています。それから施設に入り、定時制高校に通って社会に出たわけですが、結局は事件を起こしました。彼も本当は親に対する怒りがあったのに、方向転換して関係のない人を傷つけたわけです。この事件では女性が狙われ、止めに入った30代の男性が亡くなりました。

 怒りを方向転換して全然関係の無い人に向ける。その置き換えが日本ではいたるところで起こっています。それだけ多くの人が欲求不満を抱えているということです。

 そして、その矛先は必ず自分より弱い人に向きます。2016年7月に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で46人が殺傷された事件でも、障害を持つ入所者が、無防備な就寝中に狙われました。怒りの矛先を弱い者へ、弱い者へと向けていく。そういう置き換えがいたるところで起こっている日本社会の、ある意味で象徴のような事件だと思います。

 無差別殺人は、7人が亡くなった秋葉原無差別殺傷事件(2008年)のように不特定多数を対象にしたものと、今回のように一定の属性を持つ人に向けられるものに大別されます。そして、自分の人生に絶望するような破滅的な喪失体験をきっかけに無差別殺人にはしることが多い。今回の事件は実の親子関係ではありませんでしたが、80代の親とひきこもり傾向にある50代の子どもという「8050問題」の側面もあります。介護や金銭的な問題などで、追い込まれていたのかもしれません。同様の問題を抱える人たちをどう支援していくかということも社会全体で考えなければいけないだろうと思います。

(聞き手/AERA dot.編集部・金城珠代)


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