アニメグッズを捨てられ、36年間親を恨み続ける53歳男性… 鴻上尚史が勧めた「恨みを相対化できる唯一の方法」 (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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アニメグッズを捨てられ、36年間親を恨み続ける53歳男性… 鴻上尚史が勧めた「恨みを相対化できる唯一の方法」

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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鴻上尚史dot.#鴻上尚史

 いまでも当時を思い出すとあの時の激しい怒りの記憶が蘇るのです。どうしても両親にやさしくできず、実家にもあまり足がむきません。母親からは冷たい息子だとなじられます。自分でも、自分は執念深いのかもしれないと思います。

 恨んでいるのも実は疲れるし、これからの介護を考えると、おきたいです。どうしたら、両親へのこの長年の恨みをなくすことができるでしょうか。鴻上さん、どうかお知恵をお貸しください。

【鴻上さんの答え】

薫ラバーさん。薫ラバーさんは、「いまでも当時を思い出すとあの時の激しい怒りの記憶が蘇る」ということは、母親にちゃんと伝えましたか? 53歳になっても、あなたを許すことはできないんだという気持ちは、正直に話しましたか? 母親の行動を止められなかった父親も、いまだに許してない、ということを伝えましたか?

 捨て台詞でもなく、喧嘩腰でもなく、ちゃんとじっくりと、「あなた達の行動をいまだに許せないんだ。高校生の僕にどうしてそんなことをしたんだ?」「アニメのどこが恥ずかしいんだ?」ということを話し合いましたか。

 もし、とことん話しているのなら、僕にはもう、薫ラバーさんに対するアドバイスはありません。それでも、恨みが晴れないのなら、しょうがないとしか言いようがありません。

 でも、もし、とことん話し合ってないのなら、ただ母親が「あの時はごめんね」だけですませているのなら、そして、それでは薫ラバーさんが納得できないのなら、「どうして高校生の息子を、一人の独立した人格として見られなかったのか?」ということを、徹底的に話し合うべきだと思います。

 まだ、ご両親が元気なら、おそらく最後のチャンスだと思います。介護が必要になったら、ご両親は問いかける対象ではなく、守る対象になってしまって薫ラバーさんの思いは、不完全燃焼で終わるでしょう。

 今、まだご両親の体力がちゃんとあるなら、何時間もとことん話すのです。たまりにたまったものを出すしかないのです。「来年受験なら、何してもいいのか?」「いつまで、子供は親に無条件で従えばいいのか?」「子供のためだと思ったら、何をしてもいいのか?」「ただアニメが嫌いなだけだったんじゃないのか?」「アニメオタクだと世間体が悪いと思っただけなんじゃないのか?」


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