落語界での三遊亭わん丈さんの階級は二つ目。他にも真打の立川こしらさん、二つ目の立川吉笑さんらが出前授業を担う(撮影/木村和敬)
落語界での三遊亭わん丈さんの階級は二つ目。他にも真打の立川こしらさん、二つ目の立川吉笑さんらが出前授業を担う(撮影/木村和敬)
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「カメを助けて竜宮城に行ったら、イルカがビニールの浮輪に挟まって困り顔!」

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 浦島太郎をもとにつくられた創作落語に、講堂は子どもたちの爆笑に包まれた。これは、5月9日、東京学芸大学付属世田谷小学校で行われた、落語家による出前授業「海の親子寄席ぷろじぇくと」での一幕だ。2年生と6年生の児童約200人と保護者約30人が、プロの話芸を楽しんだ。

 出前授業は、日本財団が子どもたちを主な対象として漁業資源や温暖化などの海洋問題に関心を持ってもらう目的で行っている「海と日本PROJECT」事業の一つ。趣旨に賛同したプロの落語家たちが、海にちなんだテーマで落語を創作し、子どもや保護者に披露している。授業は2017年度から、首都圏の小中学校4校で開催されている。

 教員養成大学の付属校ということもあり、実践的な教育研究を幅広く行っている東京学芸大学付属世田谷小。最近では、英語が20年度に正式な教科となることもあり、プロ劇団による英語劇を児童に観賞させた。今回の出前授業を受け入れた狙いについて、同校6年1組担任の木村翔太先生はこう話す。

「落語を通じて環境問題を楽しく学ぶことは斬新だと思いました。また、どうすれば相手にうまく伝わるかという表現力を身につけるヒントにもしてほしい」

 高座に上がった三遊亭わん丈さんの演目は、古典落語「牛ほめ」と、冒頭の創作落語「拝啓 浦島太郎さん」。世界的な海洋汚染の原因になっているプラスチックごみ(プラごみ)をテーマにした小話だ。

「プラごみのせいで竜宮城のサービスが低下しちゃった」。抑揚の利いた声と一人で何役もこなす落語特有の話芸に、児童たちは次第に引き込まれていく。ペットボトルやレジ袋が分解されずにミリ単位の粒子になって海上を浮遊するマイクロプラスチックの存在を、「乙姫さまと話していたら口に細かなプラスチックが入ってきて気持ち悪いったらありゃしねえ」と巧みに伝えたのには、思わず膝をたたいた。

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