原案の田村耕太郎さん(左)と脚本の吹原幸太さん
原案の田村耕太郎さん(左)と脚本の吹原幸太さん

たむら・こうたろう 国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、東証上場のインフォテリア取締役、データラマ社日本法人会長
<br />なども兼任
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たむら・こうたろう 国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、東証上場のインフォテリア取締役、データラマ社日本法人会長
なども兼任

ふきはら・こうた 劇団ポップンマッシュルームチキン野郎主宰。脚本家としてTVドラマ、舞台、映画等、多方面で活動を続ける傍ら、俳優・声優・構成作家としても活動中
ふきはら・こうた 劇団ポップンマッシュルームチキン野郎主宰。脚本家としてTVドラマ、舞台、映画等、多方面で活動を続ける傍ら、俳優・声優・構成作家としても活動中

 理不尽な存在との付き合い方を描いた『頭に来てもアホとは戦うな!』がシリーズ75万部を突破した。悩める人々を救ってきたこのベストセラーが、知念侑李(Hey! Say! JUMP)主演でドラマ化され、好評放送中だ。

 ドラマ化を記念して、原案者の田村耕太郎と、脚本を担当する吹原幸太が、放送に先駆け、各回のエピソードに登場するアホの特徴や、かわし方について議論する。今回は「手柄横取りアホ」について。

■話を盛るクセのあるアホが得する時代?

吹原:シリーズのひとつの節目となる第6話に登場するのは、手柄を横取りしようとするアホです。

田村:ビジネスの現場には、そういうアホはいっぱいいますね。「戦うな!」が信条の私ですが、基本的に自分の成果はしっかり主張したほうがいいというスタンスです。

吹原:なぜでしょうか。

田村:野心のある人は、自分の成果を何倍にも盛って吹聴するんです。だから、自分が声を上げないと埋もれてしまいます。海外に生活の拠点を移して、私も主張するようになったと思うのですが、まだまだ足りません。

吹原:なるほど。

田村:こんなこともありました。ある仕事で、クライアントや仕事仲間などの関係者が、たまたま同じホテルに宿泊していたんです。私は自分の成果をクライアントに適宜報告していて、それで十分と思っていました。

 ところが、ライバルたちがクライアント側の決裁者と朝食をともにしてしたり、お茶をしたりしているシーンを何度も目撃したんです。「自分は呼ばれていないな」とのんきに考えていたのですが、どうやらライバルは別に決裁者から誘われたのではなく、自分からその機会をつくり出して、働きぶりをアピールしていたことが後日わかりました。

吹原:自分をプレゼンする場を設けているわけですね。

田村:そのとおりです。仕事仲間から言われました。「耕太郎は、成果を3倍くらいにしてアピールしたほうがいい。みんながそうしているのだから、それでイーブンだ」と。

吹原:3倍ですか!?

田村:私は日本人の感覚で、きっとクライアントの誰かが公平に判断して、適切な評価をしてくれると信じていたのですが、その考え方はグローバルなビジネスの現場では通用しません。自分の成果はしっかりと相手に伝わるように大きくアピールしなければならないのです。

吹原:お天道様は見ていないわけですね。

田村:それはやがて日本でも同じになるでしょう。移民受け入れを推進する方向に傾いている日本は、今後ますます自己主張の強い外国人が増えるでしょう。そのとき、自分が正当な評価を得るために、成果を主張できるようにする準備をすべきです。

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相手を観察するのが大事