筒香はプロ1年目はイースタン・リーグで102試合に出場し、打率.289、26本塁打、88打点。一軍では3試合で7打数1安打、1本塁打という成績を残している。一方、昨年の村上はイースタンで98試合に出場して打率.288、17本塁打、70打点。9月16日に初めて一軍の舞台に上がると、初打席でホームランを打つ鮮烈なデビューを果たすが、筒香と同じく1年目はこれが一軍で唯一の安打だった(14打数1安打)。

 ただし、筒香が2年目は一軍で40試合に出場して8本塁打、22打点だったのに対し、村上は2年目の今季は開幕からレギュラーとしてプレーし、既にこの数字を超えている。つまり「今の時点では筒香よりも上」というわけだ。

「2人の違い? 対応力でしょうね。ゴウの場合はちょっと不器用なんでね。こっち(村上)は打ち方も柔らかいし、(今年の)最初は苦労してたけど対応してきましたよ。ただ、筒香は(レギュラーとして)出てきてからがスゴかったですけどね。まあ、でも村上は成長してます。球界の宝になるんじゃないですか」(杉村コーチ)

「最初は苦労していた」という杉村コーチの言葉が物語るとおり、村上も今季まったくの順風満帆だったわけではない。オープン戦で4本塁打を放って開幕スタメンの座を勝ち取ったものの、最初の3カードを終えた時点では打率.103、1本塁打、3打点。高校時代は主に捕手で、プロ入りと同時にコンバートされた三塁での拙守も目立ち、小川監督も「今のままなら、どこかで線を引かないといけない」と、苦渋の表情を浮かべていたこともある。

 ところがその直後、4月9日の広島戦(マツダ)で2号本塁打を含む3安打をマークすると、12日の巨人戦(東京ドーム)から6試合連続安打。14日からは4試合で3本塁打を放つなど、4月は打率.271、6本塁打、15打点という月間成績を残した。5月は11日の時点で打率.250ながら、持ち前の選球眼の良さに加え、相手投手が警戒を強めるようになったことで四球が増え、月間の出塁率は4割を超えている。

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石井打撃コーチが語る村上の魅力とは