九州学院高で通算52本塁打を放ち、「肥後のベーブ・ルース」とも呼ばれた村上は、17年のドラフトヤクルトに1位指名されてプロ入り。そのドラフトで、小川淳司監督は7球団の指名が重複した早実高・清宮幸太郎(日本ハム)を抽選で外したものの、“外れ1位”で村上を巨人楽天との競合の末に引き当てている。

「バッティングは清宮に引けを取らないくらいの評価です。あの(恵まれた)体なので、とにかく鍛え上げて徹底してやっていったら、かなり期待できるんじゃないかなっていうふうに思っています」

 その小川監督の言葉どおり、プロ1年目の村上は故障による離脱を除けば、ほぼ一貫してファームで4番として起用され、試合後も特打、特守で汗を流すなど、徹底的に鍛え上げられた。

 左打ちのスラッガーで背番号55といえば、野球ファンなら巨人、ヤンキースなどで日米通算507本塁打を放った松井秀喜氏を思い浮かべるだろう。だが、一度でも村上のバッティングを見た者は、誰もが彼を17年のワールドベースボールクラシックで侍ジャパンの四番を務めた筒香嘉智(DeNA)になぞらえた。

 村上自身もプロ入り時に目標の選手として筒香の名を挙げていたが、188センチ・97キロという体格はほぼ同じ(筒香は185センチ・97キロ)。左打席でのどっしりとした構えから、広角に長打を飛ばす打撃も筒香を思わせる。昨年はファームでも、関係者はたびたび村上の成績を筒香の1年目と比較していた。

 ちなみに筒香も、DeNAの前身である横浜に入団した10年は背番号55。当時は横浜のチーフ打撃コーチで、その前後に青木宣親、内川聖一(現ソフトバンク)、そして山田を育てた杉村繁・現ヤクルト巡回コーチが語る。

「ゴウ(筒香)は1年目は(ファームで)26本かな。村上はあっちより(数字は)ちょっと落ちましたけど、素質的には変わらないですよ。でも、一軍では筒香より先に打ってるわけだから、そう考えると筒香よりも上ですよね、今の時点では」

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筒香よりも「対応力」がある