巨人の坂本勇人 (c)朝日新聞社
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「令和」となって記念すべき第1号本塁打を放ったのは、プロ13年目、巨人の主将にして、押しも押されもせぬ日本球界のスター、坂本勇人だった。

 現在30歳。高卒2年目の2008年から不動のレギュラーとして活躍を続け、主力として5度のリーグ優勝に2度の日本一に貢献。個人としても、首位打者、最多安打、最高出塁率にベストナイン4回、ゴールデングラブ賞2回と数々のタイトルを獲得し、侍ジャパンとしてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも2度出場した。若い頃から持ち合わせていた天才的なインコース打ちと広い守備範囲が年齢を重ねるごとに安定かつ洗練され、完成度の高い名選手となった。

 ここで一つ、興味として沸くのが、「メジャーではどうなのか?」ということだ。これまで海を渡った日本人内野手は計8人。松井稼頭央(2004~2010)に始まり、中村紀洋(2005)、井口資仁(2005~2008)、岩村明憲(2007~2010)、西岡剛(2011~2012)、川崎宗則(2012~2016)、中島宏之(2013~2014)、田中賢介(2013~2014)と、いずれもNPBで優れた実績と高い評価を得た選手たちだ。

 しかし、渡米前よりも評価を上げたのは、メジャー1年目に正二塁手として打率.278、15本塁打、71打点をマークし、ワールドシリーズ制覇に貢献した井口ぐらい。日本ではトリプルスリーを達成するなど圧倒的な能力を見せていた松井は、メッツ加入1年目に初打席初球初本塁打の鮮烈デビューから打率.272、7本塁打、44打点、14盗塁と及第点の成績を残したが、2年目以降は怪我もあって期待に応えることができず。2007年のロッキーズで残した打率.288、4本塁打、37打点、32盗塁の成績も日本時代と比べると物足りないもの。さらに遊撃手としては失格の烙印を押され、2005年以降は二塁手としての出場が続いた点もマイナスの印象だ。

 その後、日本でシーズン200安打を放った西岡が26歳で渡米するも大いに苦しんで2年で帰国し、中島、田中も通用せず。川崎はムードメーカーとして人気者になったが、完全な控え扱い。これまで多くの日本人投手が高い評価を得て、イチロー、松井秀喜の平成を代表する外野手も実績を残した一方、日本人内野手に対するメジャー球団、ファンの評価は右肩下がりで、スカウト陣も興味を失くしているのが現状だ。

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国際大会でも好成績を残した坂本