和洋女子大学大学院総合生活研究科・家政学部健康栄養学科の中島肇教授
和洋女子大学大学院総合生活研究科・家政学部健康栄養学科の中島肇教授
※写真はイメージです(写真/getty images)
※写真はイメージです(写真/getty images)

 現在、ヨーグルト=からだによい食品、ということは当たり前の認識になっているようです。ヨーグルトを健康のために、と毎日食べることを習慣にしている人もたくさんいるのではないでしょうか。2018年に発売された週刊朝日ムック『60歳からはじめる認知症予防の新習慣』では、70歳以上の認知症予防に励む高齢者152人にアンケート調査を実施。その中でヨーグルトが「毎日必ず食べているもの」(31.6%)、「健康のために食べているもの」(20.4%)でそれぞれ1位でした。発酵学および食品学が専門分野の和洋女子大学大学院総合生活研究科・家政学部健康栄養学科の中島肇教授にお話をうかがいました。

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 総務省統計局が2016年に発表した「家計調査通信第508号」によると、2人以上の世帯でのヨーグルトへの支出額は10年から15年までの5年間で右肩上がりを続けていました。年間支出金額は10年に8445円だったものが、15年には1万2135円と、3690円も増加しています。特に50代以上の年代で伸び率が高く、4000円以上の増加がありました。

「家庭の冷蔵庫に常備されている乳製品といえば、かつては牛乳が一般的でした。そこに、最近ではヨーグルトが加わるようになったのです。特に中高年層の方の消費が多くなっているというのが特徴です」(中島教授)

 1991年に“トクホ”こと「特定保健用食品」が制度化されました。すると、トクホマークのついたヨーグルトが数多く売られるようになりました。制度化された頃の“トクホ”市場をけん引したのがヨーグルトだったのです。また、これに並行して、食品の購買にも変化が生まれ始めました。栄養素や嗜好(しこう)だけでなく、食品の健康効果にも目がむけられるようになったのです。

 からだによいと思って牛乳を飲むとおなかがゴロゴロし、おなかの調子が悪くなったり、ときには腹痛や下痢を起こしたりしてしまう人がいます。しかし、牛乳と同じ成分を持つヨーグルトはおなかの調子が悪くなったりすることがほとんどありません。ヨーグルトの持つ菌が、おなかがゴロゴロして調子を悪くする原因である乳糖を分解するのです。

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