また、その取材の中で言っていた言葉も忘れられない。

「1966年に『ビートルズ』が来日した時、サポーティングアクト、前座をやったのが、オレたち(尾藤イサオ他)だったんだ。そこから時間が経って、73年。ニューヨークに雑誌のインタビューでオノ・ヨーコに話を聞きに行ったんだよ。インタビューが終わる頃に、汚ねぇジーパンの男が入ってきた。それがジョン・レノンだったんだ。『僕はあなたの公演で前座をやってたんだよ』って言ったら『オーッ!!』ってなって。そこで一気に意気投合したんだよな。オレが影響を受けた最大のことは、やっぱりロックンロールは素晴らしいってことだよ。オレがいろいろなところで『ロックンロール!!』って言ってるのは、彼が志半ばで逝ったから。そこに対して、彼の分もという思いもあるんだよな」

 人のことを思い、思われの積み重ね。肉体は無くなろうとも、内田裕也という存在が消えることはないと改めて強く思う。(芸能記者 中西正男)

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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