そのひとつ、カイ日本語スクールから今回の駅伝に2チームが参加。アメリカやスウェーデン、イタリアなど欧米中心のメンバーだ。スイス人のヤスミンさんは、箱根山を走りながら、沿道で応援する日本人に「ガンバリマス!」とガッツポーズ。レース後は、
「思ったよりきつかったけど楽しかった」
と笑顔。日本食や文化が好きで、日本で暮らすことが夢だったという。卒業後は日本の製薬会社で働く予定だ。
「大久保はいろんな人が住んでいて面白いね。いつも混んでるけど、外国人にとっても過ごしやすい街です」
と語るのは、ノルウェーから来たウェルへルムさん。ランニングが趣味で、住んでいる池袋の近辺をいつもジョギングしているのだとか。
新宿区は人口34万人のうち、実に4万2000人が外国人だ。大久保地区や若松地区はとりわけ多い。住んでいなくても新宿区で働いている外国人もたくさんいるし、大久保近辺には例えばベトナム人の集まるカフェや、ネパール人の集まる居酒屋などもある。すっかりミックスカルチャーの街となっているのだ。
箱根山駅伝の実行委員長である土屋慶子さんは、
「地域の小学校の中には、生徒の半分以上が外国人やハーフというところもあるほど。今日、駅伝に参加した子どもたちも、ふだんから外国人に接して暮らしています。転校してきたばかりで日本語がまだわからない子に言葉や勉強を教えてあげたり、そういうことがもう身についているんです」
と言う。男女も年齢も立場も関係なく、地域のみんなで走る駅伝大会の中に、外国人の姿が混じるのも、新宿ではごく自然なことなのだ。
そんな多彩な人々に応援され、「みんな、がんばれがんばれって言ってくれて、いい思い出になりました」と明るく笑うのは、ベトナムから来た留学生グエン・ゴック・ウェン・ヴィーさん。今回はベトナムと中国の混成チームで挑んだが「駅伝という競技も知らなかったけど、参加できて良かった」と話す。