村本の追及は止まることなく、

「(震災後に)皆さん(政治家)、謝られたじゃないですか、当時の。じゃあどうしたら……。安倍さんじゃ無理ですよね。安倍さん“終わるの待ち”ですか?」

 と、現政府への不満をぶち上げる一幕もあった。

 また、スマホを持たないという小泉元首相が、「若い人は信号だけを信じて、スマホを見ながら横断歩道を渡る。信じられない」と驚きを見せると、村本もすかさず「経産省だけ信じて原発は安全だと思った。似ていますよ!」と切り込んだ。

  自民党総裁選直前の昨年8月、安倍首相とゴルフをした際に「騙されるな」と忠告したことを明かした小泉元首相は、「いずれ自民党が動く。ドイツみたいに、原発ゼロになる」と断言。イベント後半は「やればできる」と繰り返した。一方、トークイベント来場者から、「(小泉元首相の声ですら)安倍さんには響かないのに、私たちの声で変わるのか?」など疑問の声も上がった。

 ちなみに、小泉元首相は対談相手の村本のことは「知らなかった!」とバッサリ。トークショーを快諾したのは、「村本さんのファンがたくさん来ると思ったから」と明かした。それにはこんな理由が。

「今日来る人は、村本さんの話は聞きたいけれど政治家の話を聞きたい人は少ないと思って。そういう層の人に聞いてもらいたいと思って、(イベントに)出ました。政治より他のことに関心がある人が現実として多いのではないかと。私の講演会に来てくれる人はもともと関心がある人ですから」

 小泉流の“褒め言葉”に、村本は「ひとつ間違えているのは、僕は誰にも支持されていない。イベントの相手が(村本ではなく)ローラだったら、もっと会場が広いところだったと思います。メディアももっと来たと思うし……」と自虐ネタで応酬した。

 原発問題について、推進派も反対派も「知って、議論することが大事」と村本は強調。小泉元首相に発信し続けてほしいといい、「(政界は引退したと言ったけれど)人として、小泉さんは現役でしょう。これはおじいの余生じゃないでしょう」「まだ燃え尽きていませんよね?」と畳み掛けると、小泉元首相も「燃え尽きたと思っていたんだけどね」と苦笑。また、村本から、「息子さんは? 原発推進派、“推進次郎”かもしれないけど」と迫られると、「はっはっはっ」と声を上げた。(AERA dot.編集部・福井しほ)