■すぐにやめてしまう新人教員

 実際に、若い教員のレベルは落ちているのだろうか。4人の教員から話を聞いた。

 地方都市の小学校で働くベテランの男性教員は、こう嘆く。

「ここ数年の新卒採用の教員をみていると、すぐにカッとなって怒る人、子どもに対する態度が悪い人、休みがちの人、すぐにやめる人が増えています。教員採用試験の倍率が下がってきているので、昔なら不合格になっていた人が教育現場に入ってきているのだと思います。私のように、子どもが好きで、子どもの教育にかかわりたくて教員になったのではなく、職業としてのひとつの選択肢としか考えていないのでしょう」

 地方都市の小学校の女性教員も、「最近の新卒採用の教員は、やめる人が多い」と感じる。

「私たち40代以上の教員は優秀な人が多いし、30代も頑張っていますが、ゆとり世代の20代の教員は、自分の言うことを聞かない児童、子どもを注意すると怒る保護者がいると、頑張ることなくやめてしまいます。今は他にも就職先がいくらでもあるからだと思います。新人教員を指導する教員も、最近は『やめたらいかんよ』と言って、優しく接しています」

 県・郡部の小学校で働くベテランの男性教員も、「子どもに受け入れられない新卒の教員がいる」と漏らす。

「叱り方がねちねちしています。『次は気をつけよう』と明るく言えばいいのに、ずっと言い続けるので、『あれでは子どももきついよな』と思います。今まではこんな先生はいなかったのですが……」

■クレームばかりの親対応でうつ病

 一方、うつ病になる若い教員もいるという。ただでさえ忙しい教頭を務める女性教員がこう話す。

「クレームばかり言ってくる親と対応しているうちに、うつ病になった教員がいます。教員不足のため、私がそのクラスの担任になりました。教頭の仕事と担任の仕事を掛け持ちしているため、毎日、21時頃まで働いています」

 4人とも子どもが好きで、子どもたちができるようになったときの笑顔を励みに、熱意と誇りを持って働いている。

 教育学部の志願者減少、教員採用試験の受験者減少、新人教員のレベル低下などにどのように対応していけばいいだろうか。駿台の石原さんはこう話す。

「給与や勤務形態などを改善して、教員が魅力的な仕事にならないと、教員の人気は戻らないでしょう」

 人を育てる教育は何よりも大切なことだ。教育現場が抱えるさまざまな問題を解決し、教員が魅力的な仕事になることを望む。

(文/庄村敦子)