猫が飼える賃貸物件を探し続け、たどり着いたのは…(写真:getty Images)
猫が飼える賃貸物件を探し続け、たどり着いたのは…(写真:getty Images)

「ペット可だけどはNG」という賃貸物件は結構多いらしい。都心で好条件の部屋にネコと住むため、事故物件を借りたという人まで。「#猫の日」だから考えたい。猫との生活の現実とは。

【画像】岩合光昭さんも惚れた 大型新人猫「ベーコン」にスタッフから黄色い声が…

*  *  *

「猫とそれなりの部屋に住むためには、何かを大きく妥協するしか無いんです」

 東京都内に住む女性(41)はそう話す。猫を飼い始めたのは10年前。小さなころからずっとネコと一緒に暮らしてきて、猫がいない生活に「禁断症状」が出始めたからだった。公園で拾った猫と住み始めた最初の部屋は、明らかに傾いていた。しかもベランダのガラス窓が勝手にカラカラと音をたてて閉まる程……。それでもそこそこの広さがあり、駅近の猫可賃貸は希少。契約更新まで住み続けた。

 仕事の転勤で東京に引っ越すことになり、そこでも苦労した。駅近だと学生向けアパートのような、手狭なワンルームしか残っていない。しぶしぶ決めた部屋は、最寄り駅から徒歩20分。内見中に「最初に見た物件はいま決まりました」と不動産屋に揺さぶりをかけられたが、猫可物件はそこそこの条件でもすぐに決まってしまうのが現実。即決した。仕事でヘトヘトになって帰る玄関先で、あの子が「にゃー」と迎えてくれる暮らしは、何物にも代え難い!

 住み始めてからも定期的に不動産屋に通い、物件探しを続けていたが、店員たちは

「ちょっと今は(空きが)出ていませんね」
「猫を飼うと相場より2、3割は家賃が高くなるんですよ」

 そう言って煙に巻こうとする。大家さんに隠れて飼ったりしたら、ご近所トラブルに発展したり、発覚して退去させられたりしても次に行くところが無い。だから「猫可物件」にこだわった。

 数年後、彼氏と住むため少し広めの部屋を探そうとしたら、さらにハードルは上がった。

 2人で訪れた不動産屋で「無い」と一点張りの店員に、彼氏がしびれを切らした。

「無いはずは無い」
「明日、別の不動産屋で契約するからもう一回探して」

 その言葉に押された店員が1枚の資料を取り出し、渋い顔でこう口にした。

「ただ、ご説明が……」

次のページ
“事故”2件… 女性は「強盗ですか?」